東大、自動運転の研究開始、柏キャンパスで
東京大学は柏キャンパス(千葉県柏市)で自動運転の研究開発に乗り出した。東大生産技術研究所(東京・目黒)が千葉市内に持っていた千葉実験所がこのほど柏キャンパスに移転し、施設などの研究開発体制を整えた。産官との連携も強化しながら、高度道路交通システム(ITS)の研究を進め、自動運転の実用化につなげる。
柏キャンパスに設けた「ITS R&R実験フィールド」には直線距離が最長約300メートルの走行試験路を整備。信号機や横断歩道など実際の道路環境もつくり、「都心では実施困難な大規模実験もできる」(千葉実験所の須田義大所長)という。一般乗用車のほか、バスの実証実験にも対応できる。
運転者がブレーキを踏むタイミングや運転中の視線など各種特性を解析する「大型車両用ドライビングシミュレーター」も設置。ソフトバンクグループの自動運転サービス会社、SBドライブ(東京・港)や東大発の自動運転ベンチャー、先進モビリティ(同・目黒)と連携し、安全運転支援システムなどを開発する。急加速や急減速を避けるエコ運転の支援システムの開発も進める。
自治体との連携にも力を入れる。柏市や民間企業などでつくる柏ITS推進協議会と協力し、交通渋滞の解消などに向けた実証実験に取り組む。交通事故を減らすため、すでに市の公用車に搭載したドライブレコーダーで各種運転データを蓄積し始めた。
生産技術研究所は1949年に千葉市に開設。55年にはロケットの研究を始め、日本のロケット開発の基礎を築いた。駒場キャンパス(同・目黒)に移った後も一部の施設が千葉市に残っていたが、その機能が4月に柏キャンパスに移転した。
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