商店街の空き店舗にアンテナ店 中板橋には富山・魚津から出店
東京都内の商店街が空き店舗に地方の市や町のアンテナ店を誘致する動きが相次ぐ。中板橋商店街振興組合(板橋区)では9日に富山県魚津市の食材が売りの食堂兼アンテナ店「うおづや」を開店。下高井戸(杉並、世田谷区)や戸越銀座(品川区)にも地方市町の店ができた。空き店舗に悩む商店街と東京からファンを呼びたい地方の思惑が一致。都心と地域を結ぶ情報発信拠点を目指す。
「うおづや」には魚津市や商工団体も協力。中板橋で働いていた若者が魚津で半年間修行し食堂の料理長に就任。魚津の漁師のまかないとして親しまれるバイ貝の炊き込みご飯「バイ飯」や富山湾のカニやホタルイカなど季節ごとの味を提供する。海産物のほか糖度の高い「加積リンゴ」や日本酒などの販売も仲介する。商店街に魚津出身者がおり、祭りで魚津のカニを販売したのが縁になった。
都内有数の商店街としてにぎわっていた中板橋も、近年は周辺の大型店に客足を奪われている。担当役員の浦山久志さんも「目黒のサンマのように中板のカニが名物となって定着してくれれば」と期待を寄せる。
下高井戸商店街には北海道北部にある中川町が「ナカガワのナカガワ」を設けた。人口約1600人と小さな町が都内にアンテナ店をつくるのは珍しい。ラーメンやワイン、焼き肉のたれ、ソーセージといった地場食品を扱うほか、町内で発見された化石を展示するなど観光情報も紹介する。
都内屈指の店舗数を誇る戸越銀座商店街では福井県坂井市が空き店舗に2年間の期間限定のアンテナ店を開業。アマダイの一夜干しといった魚介類や野菜、コメなどを販売する。店員には同市出身の学生を採用した。商店街のある品川区と坂井市では2015年度からPRイベントなどで連携しており、アンテナ店運営もその一環だという。
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