カット野菜の旭物産、最新機械で重労働削減
いため物や鍋料理に使うカット野菜を製造販売する旭物産(水戸市)が新たに工場を建設し、20日に本格稼働を迎える。従来の拠点と比べ敷地面積は2.4倍に広がり、1日50万パックと生産能力も2倍になる。
新工場の特徴は徹底して機械化を進めた点だ。生産規模拡大と同時に最新の機械を導入。現場の重労働を徹底して減らしたほか、休憩室の設備も充実させた。林正二社長は「従業員が働きやすい工場をめざす」と話す。
新本社工場は北関東自動車道の茨城町西インターチェンジから車で約10分。工場の敷地面積は約4万平方メートルで、緑地や駐車場も含めると7万4000平方メートルになる。
同じ水戸市内にある現本社工場も約3キロメートルと近い距離にあり、1月から順次移転稼働を進めている。2月中に本社機能も新工場内に移す計画だ。
19ある製造ラインで複数の野菜を使ったカット野菜やネギの薬味などを製造する。既存の工場では野菜の運搬など力のいる作業や、パック詰めなどの手間のかかる作業を従業員が手作業で対応していたが、新工場では大幅に機械化を進めた。
例えばキャベツを千切りにする際、最初に芯を取り除く作業は熟練の従業員が包丁で1つずつ切り取っていた。新工場では芯をくりぬく専用の機械を導入したため、従業員は機械の上にキャベツを置くだけだ。千切りにされたキャベツやニンジン、タマネギなどの野菜をかき交ぜる作業も人力から機械に変えた。
洗浄した野菜はカゴに入れて縦型の洗濯機のような脱水機に移すが、15キログラムの野菜を一度に運ぶ重労働だった。新工場ではオランダ製の最新の脱水機を導入。縦型ではなくドラム式で、ベルトコンベヤーで野菜を投入し、脱水後も反対側からベルトコンベヤーで搬出する。
旭物産の人気商品「12品目のサラダ」は、それぞれの野菜が交ざらないよう袋詰めすることで見栄えの良さも重視している。そのためパック詰めは手作業で、10人以上がライン上に並んで重さを量りながら手作業で詰めていた。新工場ではこの作業も重さを自動選別できる機械の導入などで人手を半分に減らした。
機械化によって従業員の負担が減り、生産効率も向上。製造能力は前工場から倍増する。手作業を減らすのは「異物混入のリスク低減にもつながる」(林社長)という。
休憩スペースにもこだわった。200人が一度に食事をとれる広い空間は、暖色系の照明や木目の天井にするなど「落ち着ける場所をめざした」。部屋にはマッサージチェアも設けた。
カット野菜は人気が高まり、スーパーのほかコンビニエンスストアでの取り扱いも増えた。「カット野菜の工場拠点としては全国最大規模」(林社長)という新工場で、生産拡大につなげる。
(水戸支局 柴田聖也)