訪日客増へ留学生指南 青森・佐井村でモニターツアー - 日本経済新聞
/

訪日客増へ留学生指南 青森・佐井村でモニターツアー

青森県佐井村を1月下旬、東京都内の大学などで学ぶ留学生10人が訪れた。インバウンド(訪日観光客)の可能性を探ろうと、大日本印刷が村と連携して実施したモニターツアーだ。留学生は村の自然や文化を満喫する一方、多くの課題も指摘した。村と大日本印刷は今後、ツアー結果を詳しく検証し、本格的なインバウンド拡大をめざす。

佐井村はおのの形をした下北半島の刃の部分にある。人口は約2100人。青森市から車で4時間近くかかり、県内「最へき地」と言える。

留学生の出身地は台湾やマレーシア、ロシア、スペインなど8カ国・地域に及び、全員日本語に堪能。3泊4日滞在し、村に伝わる歌舞伎や伝統工芸の裂織り、郷土食のべこもち作りなどの体験プログラムや、奇岩の景勝地である仏ケ浦観光や街歩きを楽しんだ。

政府は訪日外国人を2020年に4000万人に増やす計画だ。ツアーはインバウンドの地方への広がりが期待される中、外国人の目で見た魅力と課題を発掘する狙いで、観光振興を図る村が観光情報アプリを提供する大日本印刷に実施を依頼した。

大日本印刷で観光情報関連を手掛けるYORIP事業推進部の熊坂浩明副部長は「村民は最初、外国人の訪問に身構える感じがあったが、交流するうちに意識は変わり、打ち解けた」とツアーを振り返る。一方で「文化や習慣の違いに対する認識が不十分で、受け入れ上の問題も浮き彫りになった」とも話す。

参加者に菜食主義者がいることを事前に伝えていたが、厳寒の屋外を歩き回った後の昼食で冷たいレタスとキュウリしかなかったことがあった。ガイドの説明が日本語が達者でも歴史などの予備知識がない参加者には難しく、相当の工夫が必要なことも分かった。

留学生は現在、ツアーの詳細なリポートをまとめている。大日本印刷は内容を分析し、近く村に報告する。留学生が感じた佐井村の魅力を同社の観光情報アプリ「旅のよりみちアプリYORIP」やグループのオールアバウト(東京・渋谷)が運営する外国人向け情報サイトで発信、村の観光振興を支援していく。

佐井村総合戦略課の東出守男課長は「留学生の詳細なリポートに期待したい。従来、村の観光は通過型だった。夏もモニターツアーを実施し、外国人も含めた滞在型観光に転換していきたい」と話している。

(青森支局長 森晋也)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

関連企業・業界

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません