2018年8月16日(木)

三菱地所、「丸の内」死守 東京駅前に高さ日本一ビル発表

2015/8/31付
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 三菱地所は31日、東京駅前に地上約390メートルの日本一の超高層ビルなどを建設する再開発計画を発表した。総額1兆円超の事業になる見通しで、4棟を2027年度までに順次完成させる。同社は丸の内、大手町など東京駅周辺の一等地を地盤とするが、駅を挟んだ八重洲地区などでライバルの再開発計画が相次ぐ。巨大プロジェクトは「本丸」死守の宣言でもある。

 「世界に負けないシンボル性のあるビルにしたい」。杉山博孝社長は同日、都内で開いた記者会見でこう抱負を語った。

 計画地は大手町の東端の常盤橋街区。東京駅北側の日本橋口の目の前に位置する。地上が広場になる地下棟を含む4棟の延べ床面積は計68万平方メートル(丸の内ビルディング約4棟分)に達する。

 15年度中にも「国家戦略特別区域計画」の特定事業として国の認定を得て、17年度にも着工する計画だ。国際的金融センターにするだけなく、展望台の設置を検討するなど観光客も呼び込む。「色々なことを楽しめる機能を併せ持つのが世界の都市開発の流れだ。外国企業から選ばれる丸の内にしたい」(杉山社長)

 三菱地所はビル事業が主力。同事業の売上高は5877億円(15年3月期)と国内トップだ。東京駅の皇居側を中心とした丸の内地区(有楽町、大手町を含む)に約30棟のビルを持ち「丸の内の大家」と呼ばれる。同地区だけでビル賃貸収入全体の6割を稼ぎ出す。

 同社の丸の内地区での老朽ビル建て替え・再開発は02年秋開業の丸ビルから始まり、高層化や買い物も楽しめる複合機能化を進めてきた。だが盤石というわけではない。

 02年3月期と15年3月期を比べると、同地区の営業延べ床面積(共用部含む)は63%拡大した。同期間のビル賃貸収入はというと62%増だ。省エネ性や安全性に優れた最先端ビルを投入してきた割に伸び悩んでいるとの見方もできる。吹き抜けの設置や共用部の充実などで直接収入につながらない部分も増えている。

 さらに八重洲、日比谷など近隣地区でも三井不動産などの大型再開発計画が動き出し、長年の三菱地所優位の構図が揺らぎかねない状況だ。オフィスの大量供給というリスクはあっても、存在感を高める起爆剤となるビルが必要になっている。

 杉山社長を含む三菱地所の歴代トップは、丸の内地区以外の事業、いわゆる「丸の外」の育成も経営課題にあげてきた。

 大阪駅前の大規模再開発「グランフロント大阪」などが順調な一方、「丸の外」の代表格の横浜ランドマークタワーでは15年3月期に減損損失を計上した。海外ではロンドンの金融街シティの再開発などで先行したが、最近では、米英で大型再開発を始めた三井不動産に比べて影が薄い。

 創業以来の「美田」を守りつつ、街をつくりかえるように自己変革も遂げられるか。この解がまだ見えないことも本丸の守りを固めねばならない理由と言えそうだ。(岩本圭剛、NQN=石川隆彦)

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