JTB、アジアナンバーワン目指す インドネシア旅行社に出資
JTBは31日、インドネシアの旅行大手PTパノラマ・ツアーズ・インドネシアと資本・業務提携すると発表した。3月に発行済み株式の40%を数十億円で取得する。現地店舗網と顧客基盤を使い、訪日ツアーなどを販売する。2016年にインドネシアから日本を訪れた旅行客は前年比32.1%増となり、国・地域別で伸び率がトップ。現地企業との提携で有望市場を開拓する。
都内で記者会見した高橋広行社長は「アジア発の人の流れを取り込み、JTBをアジアナンバーワンの旅行会社にする」と語った。インドネシアが世界4位の2億5500万人の人口を抱える点を強調し、「一気呵成(かせい)に事業を拡大する」と意気込んだ。
PTパノラマ・ツアーズ・インドネシアはインドネシア最大の総合旅行会社パノラマ・グループの中核企業で、同国発の海外旅行を扱う。24都市に53店舗を展開し、オンライン販売も手がける。15年の売上高は約180億円。
JTBジャカルタ支店と統合し、社名をPTパノラマ・JTB・ツアーズに変更。JTBから役員を派遣する。JTBのロゴを店舗に掲げブランドを浸透させる。
イスラム教徒の戒律に沿う「ハラル」に対応した食事などを組み込んだ旅行商品を開発する。インドネシア人が日本以外の国・地域に旅行する際の手配や商品づくりでも協力する。
インドネシア国内に拠点を置く企業への営業にも力を入れ、国際会議や展示会といった「MICE(マイス)」や出張の需要も掘り起こす。
パノラマ・グループのブディ・ティルタウィサータ最高経営責任者(CEO)は「インドネシア発の海外旅行者は増えており、JTBとの協業は光栄だ」と述べた。
日系旅行会社は従来、海外旅行会社からの依頼で運送手段や宿泊施設を手配したり、自社サイトで外国人に販売したりしてきた。ただJTBを含め「日本の旅行会社の取り扱いは微々たるもの」(高橋社長)。日本で自由に開業できる手配代行会社「ランドオペレーター」が格安商品で台頭。予約サイトも増え、競争が激しくなったためだ。
16年の訪日客数は2403万9千人と過去最多を更新し、政府は20年に4千万人を目標に掲げる。JTBの売上高のうち、外国人の海外旅行を手がけるグローバル事業は16年に約4000億円となった。今回の提携をテコに20年に7500億円に増やす計画だ。(大林広樹)
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