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Windowsスマホ、瀬戸際からの逆襲

米マイクロソフト(MS)にとって、スマートフォン(スマホ)市場の開拓で最後のチャンスかもしれない。31日には米ヒューレット・パッカード(HP)の日本法人がMSの「Windows(ウィンドウズ)」を搭載したスマホを発表。再び攻勢をかけているが、スマホ市場でMSのシェアは1%未満。スマホ市場をリードする米アップルや米グーグルの背中はあまりに遠い。

ビジネスマンがターゲット

日本HPの「Windowsスマホ」発表会に出席した岡隆史社長(左から2番目)ら(31日、東京・港)

東京・六本木で日本HPが開いた記者会見。HPのモバイル事業などを担当する副社長、キース・ハーツフィールド氏はHPの新型スマホの優位性を強調した。

「いろいろな環境で仕事の生産性を上げられる。企業にとっても有益なはずだ」

ハーツフィールド氏がアピールしたスマホは、HPの「HP Elitex3」(9月5日発売)。その基本ソフト(OS)は、最新の「ウィンドウズ10モバイル」。MSがスマホ市場で巻き返すために開発したOSだ。

そのターゲットは明確だ。ウィンドウズやMS製の定番ソフト「オフィス」などに慣れ親しんだビジネスマン。つまり、法人需要だ。ウィンドウズを搭載したHPのスマホは当然ながら、「ワード」や「エクセル」などを最初から搭載。さらに、「コンティニュアム」と呼ぶ機能を使えば、外出先でも、パソコンと同じ要領で書類の作成やプレゼンテーションができる。

コンティニュアムは、ウィンドウズスマホの最大の特徴と言える。大型モニターにスマホを接続すれば、いつでも、どこでも、オフィスのウィンドウズパソコンと同じ要領で仕事ができるためだ。法人客には、セキュリティーを心配する声が多いため、生体認証などの機能も搭載している

仲間は「パソコン時代の雄」

MS日本法人によると、日本では、HPの新製品を含め、OSにウィンドウズ10モバイルを採用、あるいは採用予定を発表しているスマホは12社・14機種にまで増えた。アップル、グーグルを追撃する態勢が整いつつあるようにも見えるが、まだまだ力不足だ。

「iPhone(アイフォーン)」でスマホ市場を切り開き、今なお圧倒的なリーダーであるアップル。無償OSの「アンドロイド」を提供し、巨大な支配力を誇るグーグル。調査会社のIDCジャパン(東京・千代田)によると、ウィンドウズが搭載されたスマホのシェアは世界でも、日本国内でも1%に満たない(出荷台数ベース、2016年4~6月期)。

なかでも、日本はiPhoneの人気が高い国。一般消費者の支持は今なお絶大だ。MSにとっては、攻略しにくい市場の1つだろう。そこで、選んだ攻略法がビジネス顧客にしぼった商品開発と販売戦略、そしてパートナー戦略だ。

「Lenovo」「Acer」「VAIO」……。ウィンドウズを搭載したスマホのメーカーのリストには、一時代を築いたIT(情報機器)ブランドがずらりと並ぶ。

中国のパソコン大手、レノボ・グループ、台湾エイサー、ソニーから独立したVAIO(長野県安曇野市)など知名度の高いブランドを持つメーカーばかりだが、いずれも「パソコン全盛期」をMSと謳歌した企業ばかりだ。

裏を返せば、スマホ時代にはパッとしない企業である。法人向けのパソコンで「世界一」というHPも、「パソコン時代の雄」であり、スマホ時代の存在感はほとんどない。

スマホ市場は波乱の予感

パソコンメーカー側も、パソコン需要の低迷でスマホ事業の強化を迫られている。日本HPの岡隆史社長は「パソコン市場は2013年がピーク。正直、厳しいトレンドだ。今回のスマホの販売によって、厳しい状況の中で勢いをつけられる」と話す。

HP同様、VAIOなどもMSのOSを搭載することで、法人需要の獲得を狙っているが、成功する保証はない。そもそも、スマホ市場は頭打ちとなっており、価格競争も激しくなりつつある。

そして、企業向けのITビジネスでは、スマホのようなハードの良しあしより、手軽に情報システムを使えるクラウド・サービスとの親和性が大切になってくる。消費者向けのスマホ単品売りよりもシステム開発・提供も含めた総合的な提案力が重要だ。

パソコン時代の仲間とタッグを組み、ビジネス市場の開拓を突破口に選んだMSの戦略は功を奏するのか。

日本のスマホ市場は、圧倒的な存在だったiPhoneに陰りの兆しが見え、「格安スマホ」が台頭しており、波乱の予感が漂っている。ウィンドウズでスマホに参入したパソコンメーカーの担当者は「現在は企業がウィンドウズスマホ採用の検討を始めた段階。勝負の結果が明らかになるのは、2017年以降になる」と予想している。

(中尚子)

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