富士フイルム、米iPSベンチャー買収 370億円で

2015/3/30付
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富士フイルムホールディングス(HD)は30日、米再生医療ベンチャーのセルラー・ダイナミクス・インターナショナル(CDI、ウィスコンシン州)を3億700万ドル(約370億円)で買収すると発表した。CDIはiPS細胞を安定的に大量生産する技術を持つ。富士フイルムHDは再生医療が広がるうえでカギを握る同細胞関連の技術を獲得し、再生医療の総合企業を目指す。

買収を発表する富士フイルムホールディングスの古森会長(左)と中嶋成博社長(30日、東京都港区)

買収を発表する富士フイルムホールディングスの古森会長(左)と中嶋成博社長(30日、東京都港区)

CDIは2004年設立で13年7月に米ナスダックに上場した。14年の売上高は1670万ドル、純損益は3060万ドルの赤字。富士フイルムHDの米国子会社が設立した特別目的会社が1株あたり16.5ドルで4月6日までにTOB(株式公開買い付け)を始め、完全子会社化を目指す。CDIの取締役会は買収に賛成している。

CDIはiPS細胞を作り、ヒトの心筋や神経細胞などにしたうえで製薬会社や研究機関に供給している。製薬会社が薬剤候補物質の効果を探る創薬の早期段階で使えば、開発期間の短縮や費用の抑制に役立つ。

富士フイルムHDは自社でiPS細胞が育ちやすいよう環境を整える素材を持つ。昨年末に連結子会社にしたジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)は患者に利用できるレベルの品質で細胞を培養する技術があり、国内で唯一、再生医療製品を販売する。さらにCDIという細胞そのものの供給源も確保し、再生医療で重要な技術を一通りそろえる。

古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO)は30日、「3社の技術を組み合わせれば、組織や臓器の再生など様々な再生医療への活用が期待できる」と指摘。「世界一の再生医療企業を目指す」と話した。

富士フイルムの素材は細胞を立体的に培養できるのが特長だ。iPS細胞を単に培養するよりも実物に近い環境を体外に再現でき、新薬のテストの精度は向上する。立体培養した細胞組織を使って人の臓器を代替する「臓器再生」につながる可能性もある。

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