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電力10社が経常黒字に 震災後初、4~9月期

電力大手10社の2015年4~9月期連結決算が30日出そろい、東日本大震災後で初めて全社の経常損益が黒字となった。液化天然ガス(LNG)価格の下落で火力発電所用の燃料費が減少した。九州電力は鹿児島県の川内原子力発電所1号機の再稼働も寄与、5年ぶりに黒字転換した。ただ燃料安がどこまで続くか不透明で、大半の原発が停止するなか不安定な収益構造は続きそうだ。

4~9月期の10社合計の経常利益額は2.4倍の9857億円となった。4~9月期として震災前の利益水準を回復した。最終損益も10社全社が黒字を確保した。

30日に決算を発表した九州電力は、川内1号機再稼働で代替の発電所に使う燃料費が減ったことなどで約100億円の利益が改善した。10月には川内2号機も再稼働し通期では原発再稼働で800億円程度の利益が改善する見込み。瓜生道明社長は「通期で500億円の最終黒字は確保できる」と、16年3月通期の黒字転換に自信を見せた。

10社合計の燃料費は33%減の2兆3438億円と震災後で最も少なかった。LNG価格が前年同期より4割下がった効果が大きい。LNG火力発電への依存度が6割超と高い東京電力中部電力は燃料費の減少が収益改善に大きく寄与した。

電気料金引き上げも利益増につながった。北海道電力は14年11月に実施した再値上げ効果で4~9月期は404億円の利益が増え、4年ぶりに経常黒字に転換した。関西電力は15年4月からの料金引き上げで490億円利益が上乗せされた。

燃料安は下半期も各社の利益回復に寄与し、16年3月通期も全社が経常黒字の公算が大きい。

ただ燃料安の恩恵はいつまでも続かない。燃料費調整制度によって、燃料安は約5カ月遅れで電力料金に反映される。今後は電気料金の収入が減り、先行して発生した燃料安による利益増加分は相殺される。燃料安効果が剥落する17年3月期は厳しい収支になる見通しだ。中部電力の勝野哲社長は「差益がいつ差損に替わるか先行きは見通しにくい」と懸念する。

費用削減のため繰り延べしてきた発電所や送電網の修繕費も増加傾向だ。「震災直後の苦しい時期に抑制していただけに、安定供給へ増やさざるを得ない」(東北電力の原田宏哉社長)。16年4月の電力小売り全面自由化による競争激化も経営体力を削りそうだ。

各社とも「抜本的な収支改善には原発再稼働が必要」(中国電の苅田知英社長)と見ている。東電の広瀬直己社長は「新潟県の柏崎刈羽原発が1基再稼働すれば月100億円程度の燃料費が減らせる」と試算する。

原子力規制委員会の安全審査に申請した15原発25基のうち合格したのは3原発5基のみ。大半は再稼働の行方が不透明で、電力会社の収益回復が安定軌道に入ったとはいえない状況が続く。

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