セブン&アイ、利益半減 晴れぬ「停滞の霧」

2016/9/30 17:47
保存
共有
印刷
その他

「小売りの勝ち組」とされてきたセブン&アイ・ホールディングスがつまずいた。30日には2017年2月期の連結純利益が前期比50%減の800億円となると発表。大幅な下方修正の原因は、不振の百貨店とスーパー事業で606億円の減損損失を計上すること。巨額の減損計上をきっかけに出直せるのか――。市場は確信を持てていない。

「これで終わるか分からない」

業績下方修正を招いた百貨店事業は、リストラの真っただ中にある。傘下のそごう・西武は今期既にそごう柏店(千葉県柏市)など4店舗の閉鎖を決定。その他の店舗でも苦戦が続いており、不振店舗に関して減損損失122億円を計上する。

セブン&アイは2005年にミレニアムリテイリング(現そごう・西武)を買収して百貨店事業を一気に拡大しようとしたが、買収に伴って計上していたのれんのうち、334億円を減損損失する。つまり、乾坤一擲の大型M&A(合併・買収)が当初のシナリオ通りの利益を上げられなかったことを意味している。

もう1つの元凶が、創業期から続くスーパー事業。イトーヨーカ堂は不良在庫を処分するため下期に値下げなどを予定しており、これが110億円粗利を押し下げる。さらに、イトーヨーカ堂の店舗についても150億円の減損を計上する。

企業会計の仕組みを考えれば、不振事業で減損を計上したり、在庫処分したりすれば翌期以降の費用が圧縮され、利益が出やすくなる。それでも、セブン&アイの場合、来期以降に「V字回復」を果たせるとは限らない。株式市場では、「店舗の収益力がすぐに回復するような施策が今のところ、見当たらない。本当に減損の計上がこれで終わるのかは分からない」(小売り担当の大手証券アナリスト)という声が出ているのだ。

注目は「10.6」

実際、イトーヨーカ堂は昨夏にも在庫圧縮のために90億円の費用を計上したが、今期にも追加の対応を迫られた。かつて衣料品に強かったイトーヨーカ堂がファーストリテイリングが運営するユニクロなどの専門店に押されるという構図は1990年代から続いている。

イトーヨーカ堂は今年、20店の閉店も予定しているが、抜本的なてこ入れ策は見えていない。在庫の圧縮や閉店だけでは縮小均衡だけが続くことは明らかだ。

セブン&アイは10月6日に予定されている2016年3~8月期の決算発表で、てこ入れ策を打ち出す。鈴木敏文前会長から経営を引き継いだ井阪隆一社長が構造改革策を発表するとみられる。

期待通りの計画を打ち出し、計画通り実行できるのか。スーパーや百貨店の現状が半年前以上に厳しくなっている中で、再成長のストーリーを見せられるか。「10.6」まで1週間を切った。

(中尚子)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]