2019年2月22日(金)

日産、大規模リコールも 国内全6工場で不適切検査

2017/9/30 20:19
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日産自動車の国内6工場で発覚したずさんな検査体制は法令順守意識の低さを示し、ブランドイメージに打撃となりそうだ。改善できなければ仏ルノーと企業連合で進める世界市場での拡大戦略に響きかねない。今後、販売済みの車両の大規模リコール(回収・無償修理)に発展すれば業績に影響する可能性もある。

主力EV「リーフ」の完成検査でも不備が見つかった(神奈川県の追浜工場)

主力EV「リーフ」の完成検査でも不備が見つかった(神奈川県の追浜工場)

日産による記者会見から一夜明けた30日、全国に約2100ある日産系列の販売店に混乱が広がった。首都圏のある販売会社では「報道より詳しい情報は得られていない」と言い、「再検査が必要な車両の番号や再検査の方法などについて、日産からの情報提供を待っている」という状況だ。

納車待ちの顧客から「いつ車両が手元に届くのか」といった声が寄せられているが、30日の段階で回答できていない。日産は既に検査体制を是正して国内各工場で生産を続けており、この販売会社は新型の電気自動車(EV)「リーフ」を含む受注活動を続けている。

資格を持たない従業員が新車の出荷前に必要な完成検査に携わっていた問題は、国土交通省による9月18日以降の立ち入り調査で発覚した。追浜工場(神奈川県横須賀市)など国内6つの完成車組み立て工場の全てで同様の不備が確認された。

大量生産車の安全性などを審査する型式指定制度では本来1台ずつ国が行う検査を、工場から出荷する直前の完成検査を通じて車メーカーが肩代わりしている。国の信頼を裏切ったという意味で三菱自動車が燃費データを水増しして届け出た問題に似ており、石井啓一国土交通相は「制度の根幹を揺るがす行為だ」と日産を厳しく批判するコメントを出した。国交省は国内のほかの車メーカーにも検査に不備がないか調査を指示した。

日産は無資格の従業員による完成検査が見過ごされた理由や始まった時期について「調査中」としている。検査責任者は法令を認識しながら、現場では有資格者を示すバッジをつけない従業員が交じって完成検査を行っていたことが分かっており、管理の不徹底が背景にあるとの見方もある。

日産は既に顧客に届いた車両についても完成検査のやり直しが必要と判断した場合は国交省にリコールを届け出る方針。対象は最大で100万台規模になる恐れがあり、かかるコストは見通せない。ただ海外工場に関しては安全性を審査する制度が異なるため「全く問題はない」としている。

日産はルノーや三菱自と合わせた世界販売が2022年に16年比4割増の1400万台になると予測する。今回の問題はグローバルマザー工場と位置づける追浜工場でも見つかっており拡大戦略が揺らぐ可能性もある。

国内での日産の販売は16年11月に部分改良して発売した小型車「ノート」のヒットなどで今年8月まで10カ月連続で前年実績を上回った。収益源である米市場の勢いに陰りが見え、日本市場の重要性は増している。業績への打撃を最小限に抑えるには原因究明と情報開示を急ぐ必要がある。

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