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ハワイ便、運賃競争加速へ ANAが超大型機導入発表

日本とハワイを結ぶ航空路線の運賃競争が再燃することになりそうだ。ANAホールディングスは29日、欧州エアバス製の超大型旅客機「A380」3機を導入すると正式発表した。2019年春から順次、ハワイ路線に投入する。500席を超える座席を設定できるA380が3機就航すれば、提供座席数は2割増える見込み。日本航空が牙城としてきたハワイ路線でシェア拡大を狙う。

日本の航空会社がA380を導入するのはANAが初めて。定価ベースの発注規模は3機で約1500億円となる。成田空港、羽田空港を発着するホノルル路線に投入。ファーストクラスの座席も設定し、富裕層の獲得にも力を入れる。

現行のハワイ路線の運航機種と比べると、A380は1度に2倍超の旅客を運ぶことができる。1座席当たりの運航コストは競合機種より約15%低いとされる。導入後のハワイ路線について、ANAは現行よりも安い運賃を想定しており、「常夏の島」がより身近な存在になる見通しだ。

ハワイ路線はかつて、日本の国際線をけん引した日航の象徴だった。米ボーイングの大型機「747型機」を投入し、観光客を大量に送る成功モデルを築き上げた。リゾート需要が多様化し、人気に陰りが出てきた00年以降、各社が空席を埋めるための値下げに走り、路線の収支が悪化。運航規模の縮小が相次ぎ、09年の提供座席数は00年比で4割強減少していた。

超大型機エアバス「A380」

ANAは傘下の全日本空輸などを通じ、ハワイ路線を手掛けてきた。すでに地方空港発着路線からは撤退し、現在は成田から1日2往復、羽田から1日1往復を運航するだけだ。15年のシェアは10%にとどまり、37%の日航とは開きがある。

成田、羽田の発着枠に限りがあるなか、ANAにはA380が巻き返しの切り札になるとの期待はあった。経営陣の背中を押したのは15年1月に経営破綻したスカイマークの存在だ。再生を支援するスポンサーを巡り、ANAは15年夏、債権者による投票で米デルタ航空と争った。大口債権者だったエアバスに対し、協力を求める見返りに将来的な機材発注の可能性を伝えていた。

スカイマークに対する出資が完了した15年9月ごろから交渉を本格化。記者会見した長峯豊之取締役は「スカイマークの案件がA380の検討を加速させたのは否定できない」と説明した。

ANAの国際線の拡大志向はハワイ路線へのA380投入だけにとどまらない。29日発表した今後5年間の中期経営戦略にも色濃く表れる。

旅客需要が頭打ちの国内線の売上高は5年後も横ばいの見込み。16.5%を出資するスカイマークとの共同運航なども盛り込まなかった。一方、国際線は東南アジアや中南米への路線を拡大し、21年3月期には連結売上高を16年3月期見込み比21%増の2兆1600億円とする計画だ。従来は26年3月期までとしていた連結営業利益2000億円の達成時期も21年3月期に前倒しした。

原油安と訪日外国人客の増加で足元のANAの業績は好調を維持している。ただ、成長領域と位置付ける国際線はテロや疫病などの影響を受けやすい。A380の導入による大量輸送への回帰はこうしたリスクが膨らむ懸念をはらむ。攻めを貫くため、コスト削減の手綱を緩めることはできない。

(白石武志)

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