2019年5月22日(水)

スカイマーク、700億円賠償も エアバスが大型機解約通告

2014/7/29付
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国内航空3位のスカイマークが正念場を迎えている。国際線参入に向けて発注した大型機「A380」について、メーカーである欧州エアバスが29日までに契約解除を通告。スカイマークに700億円規模の損害賠償を求める方針が明らかになった。国内線も格安航空会社(LCC)の参入で苦戦を強いられており、経営に打撃となりかねない。数少ない独立系航空会社の事業基盤が揺らげば、競争を掲げた航空行政も岐路に立たされる。

記者会見するスカイマークの西久保社長(29日午後、国交省)

記者会見するスカイマークの西久保社長(29日午後、国交省)

エアバスは同日、スカイマークとの「A380」6機の売買契約を解除したと発表。「契約に基づくあらゆる権利および(損失の)救済策を行使する」と表明した。

スカイマークの西久保慎一社長も同日、記者会見し「解約通知は27日にファクスで一方的に送られてきた」と説明、違約金としてエアバスが伝えた損害額は「7億ドル(約710億円)だった」ことを明らかにした。そのうえで「両社の交渉は現在も継続中」との認識を示し、「エアバスの姿勢をただした上で、きちんとした結論を出したい」と述べた。

A380は総2階建て構造で500席以上の配置が可能な超大型機。2014年のカタログ価格は1機4億1440万ドル(約420億円)。購入するのはアラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空や独ルフトハンザ航空といった大手が中心だ。

スカイマークは売上高の2倍を超える総額1915億円(現在価格)でエアバスから6機のA380を購入する契約を締結。今年10月に1機目が引き渡され、今年末にも成田―ニューヨーク線に就航する計画だった。超大型機の納入が実現しなければ、機材や就航先を変更するなど国際線の事業計画の抜本見直しは避けられない。

スカイマークは1996年の設立で、規制緩和による新規参入の第1号。羽田―福岡線など国内約30路線を運航し東証1部に上場するものの、世界の航空会社の中では中堅規模にすぎない。国内で初めて超大型機を保有し、大手キャリアーの証しである国際線就航を実現したいとの西久保社長の野心が購入決断の背景にあった。

エアバスと契約した11年ごろは経営も拡大期にあり、12年3月期単独決算では152億円の営業利益を計上した。ところが、契約以降、LCCが相次ぎ参入。日本航空など大手とLCCに挟まれ業績が低迷し始めた。12年3月末に306億円あった手元資金は今年3月末には70億円にまで大幅に減少していた。

このため、今年10月に1号機が納入された際に支払う資金調達にメドが立たず、今春から納入時期の見直しなどの交渉を進めていた。4月支払い分の前払い金8億円が未納となったことを受け、エアバスは契約不履行と判断、契約解除に踏み切ったようだ。

現在、エアバスに支払い済みの約260億円の前払い金についてスカイマークは建設仮勘定として資産に計上しているが、A380の解約が確定すれば、自己資本の半分以上に相当する額を特別損失に計上することになる見込み。エアバスとの交渉次第では、15年3月期は最終黒字の見通しから一転して大幅な赤字となる可能性がある。

スカイマークは当面の運転資金に問題はないと説明する。ただ、エアバスへの損害賠償が膨らめば、長期にわたって新たな負担を抱えることになる。西久保社長は「どんなに会社を縮小しようが、独立した形で、今後も第3の航空会社として営んでいきたい」と話したが、道は険しい。

同日の東京株式市場でスカイマーク株は急落。一時15%安の245円を付け、09年11月以来、4年8カ月ぶりの安値となった。

カブドットコム証券の山田勉マーケットアナリストは「エアバスとの交渉が長引けば国内線も含めた経営全体が混乱すると嫌気された」と指摘している。

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