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東芝に厳しい視線「減損3000億円規模」の見方も

米原子力事業で数千億円規模の減損損失の発生可能性を発表した東芝に対する市場関係者の視線が厳しい。格付投資情報センター(R&I)は28日、東芝の発行体格付けを投資適格等級の「トリプルBマイナス」から投機的等級の「ダブルB」に2段階引き下げたと発表。アナリストからも「不安が払拭できない」など先行きを危惧するリポートが相次いだ。

「深刻な状態に陥る懸念」

R&Iは格付けを「ダブルB」にすると同時に、格下げ方向で見直す「レーティング・モニター」に指定した。会計不祥事の痛手で、ただでさえ脆弱な東芝の財務基盤。資本増強に向けて打てる手も限られており、今回、新たに発覚した損失で「財務基盤が深刻な状態に陥る懸念が生じた」と指摘する。

27日の発表を受けて出したアナリストらのリポートも手厳しい。「原発事業は底なしにコストがかさんでいるのではないかという不安が払拭できない」。シティグループ証券の江沢厚太氏は27日付のリポートで、東芝の損失計上についてこう指摘した。

今回の問題になっている米ウエスチングハウス(WH)傘下の原子力サービス会社では買収手続きが終わってからわずか1年という期間で、「数千億円規模」の損失が発生した。東芝は27日の会見で2兆円規模の巨大プロジェクトで費用が当初の想定よりも膨らんだのが主因だと説明したが、「(原発の土木・建設を含めた)総合的エンジニアリングのノウハウ不足が露呈した」(SMBC日興証券の嶋田幸彦氏)とみる市場関係者は多い。

目先の焦点は「数千億円」の損失のどの程度になるか。東芝は27日の会見で「精査中」と繰り返すばかりだったが、クレディ・スイス証券の前川英之氏は「(プロジェクトの費用が)10~15%の追加と仮定して2000億~3000億円程度」という減損額を想定。東芝の株価の下値めどは28日終値と同じ水準の310円程度とはじいた。

連結の債務超過は回避の見方

ただ、損失額が膨らめば、東芝が一段と厳しい状況に追い込まれる懸念もくすぶる。9月末時点の東芝の純資産は連結ベースで6981億円。現時点では単体で債務超過になったとしても、東証の上場廃止基準に抵触する連結の債務超過は回避できるとの見方が多いが、「仮に5000億円程度の追加的な特別損失計上となれば、債務超過もあり得る」とJPモルガン証券の森山久史氏は見る。

次の焦点は財務悪化が金融機関からの融資を受ける条件に抵触しないかどうかだ。東芝では複数の金融機関からの借り入れに関して、一定水準以上の利益や純資産額、格付けなどを維持することが求められる財務制限条項が付いている。東芝は具体的な内容を明らかにしていないが、万一抵触すれば、金利の引き上げや返済の前倒しなどを求められるため、今後、条件の見直しなど新しい支援を要請していくことが必要になる可能性がある。

損失額に合わせた資本増強の道筋をつけられるかどうかも大きな焦点。特設注意市場銘柄に指定されているうちは幅広い投資家を対象にした公募増資は難しい。「今後は取引金融機関による資金繰り支援や第三者割当増資などが検討の遡上に載るものと推測される」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の安蒜信彦氏は28日付のリポートでそう指摘した。

(富田美緒)

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