NHK、通信含む「公共メディア」に 上田会長に聞く

2017/7/27 23:06
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 NHKの上田良一会長は27日、日本経済新聞社などのインタビューに答えた。通信と放送の融合をNHKの「大きな経営課題」とし、現在の公共放送からインターネットなど通信も含めた「公共メディア」を目指す意向を明らかにした。同時配信には放送法の改正が必要だが、公共放送の業務拡大を懸念する声は絶えず、曲折も予想される。

上田良一NHK会長

 通信と放送の融合により、地上波と同じ時間に番組を配信する「常時同時配信」の実現を目指す。パソコンやスマートフォン(スマホ)で、テレビと同じ時間に同じ番組を見ることができ、NHKは東京五輪の前年の2019年の開始を目指している。上田会長は同時配信について「通信手段の多様性を踏まえて、視聴者や国民に満足いただける視聴機会の多様化が必要」と強調した。

 25日には上田会長が同時配信での料金負担のあり方などを諮問した「受信料制度等検討委員会」(座長・安藤英義専修大学大学院教授)が答申を出し受信料型が適当とした。「できるだけ速やかにNHKとしての考え方を示したい」と述べた。

 同時配信には配信システムへの投資や出演者の著作権処理といった課題が多く、民放と足並みがそろわない。「(20年までの)任期のうちに方向を付けたいが個人の思いで正面突破というわけにいかない。民放など関係者にしっかりと説明して納得いただきたい」と話した。検討委には常時同時配信を前提に諮問しており、公共放送の本来の役割についての議論が置き去りとの指摘もある。

 民放をはじめ多くのメディアはNHKが受信料を背景にした豊富な資金でネット事業を拡大し、民業を圧迫することを懸念している。NHKの16年度の受信料収入は6769億円と、民放で放送関連収入が最も多い日本テレビホールディングスの3745億円の2倍近く、地方の民放と比べると数十倍の開きがある。

 「公共メディア」を目指せば、放送を広く普及させる目的で設立したNHKが、公共機関のままネット事業へと踏み出しかねない。4日の総務省の有識者会議ではNHKの坂本忠宣専務理事が同時配信を「将来的には本来業務」と位置付けると発言し、民放から批判を招いた。上田会長はインタビューで「言葉はそこだけ切り取って独り歩きするので注意しなければいけない」と釈明した。

 上田会長は受信料の引き下げに関し「4K、8K放送や将来的な世帯数の減少などを勘案し、財政的にゆとりがあれば還元したい」と述べた。18~20年度の中期経営計画で受信料引き下げを視野に入れる考えを示した。同時配信が始まればテレビを持たない世帯まで受信料徴収の対象が広がることになり、受信料引き下げを求める声がより大きくなりそうだ。

 同時配信には放送法の改正、受信料改定には国会の同意がそれぞれ必要。上田会長はフェイクニュース(虚偽情報)の問題を取り上げ「信頼性の観点から公共放送、NHKが必要と思ってもらえるよう努力し、その延長線上に放送法改正がある」との考えを示した。安倍政権寄りの報道が多いという指摘について「NHKの職員には自主自立、公平公正、不偏不党の軸足を踏み外してほしくない」と述べた。

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