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味の素と東工大教授ら、アンモニア新技術の会社設立 狙いは

味の素と東京工業大学・元素戦略研究センター長の細野秀雄教授らは、新しいアンモニア生産技術の実用化をめざす新会社「つばめBHB」(東京・中央)を設立した。細野教授らが発明した新触媒をアンモニア生産に利用することで、生産設備の小型化につなげる。アンモニアの用途は広く、食品・医薬品の生産効率を高める可能性がある。

アンモニアは窒素源となる重要な化合物で、肥料の原料や様々な食品、医薬品、化成品の原料として利用される。世界全体の生産量は年間1億6000万トンを超える。

現在のアンモニアの生産はハーバー・ボッシュ法が主流。20世紀初頭にドイツで発明され、空気中の窒素からアンモニアを合成する画期的な方法で世界中に広がった。ただ高温と高圧の反応条件が必要で、高いエネルギー負荷がかかるため、大型の生産プラントが必要だった。

そうしたなか、ノーベル賞候補者としても著名な細野教授らは低温・低圧条件下で高効率のアンモニア合成が可能な触媒を、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業の研究開発のなかで発見。この触媒を使えば、食品や医薬品メーカーなどの工場敷地内にも設置できる小型のアンモニア生産設備が可能になるという。

味の素自らの利点もある。同社はうま味調味料「味の素」などのアミノ酸を発酵生産する際に、副原料として大量のアンモニアを使用している。ただ、従来すべて外部調達しており、輸送には専用の車両や貯蔵庫が必要で、莫大なコストがかかっていた。

細野教授らが発見した触媒を用いた生産法を導入すれば、アンモニア生産プラントを自社のアミノ酸生産工場内に設置でき、副原料のアンモニア生産を内製化できる。

これまでのアンモニア調達コストが削減でき、アミノ酸生産コストの大幅な削減が期待できるとみているのだ。味の素は国内外のアミノ酸発酵生産工場で、2021年をメドに小型アンモニア生産設備の実用化をめざす。

このオンサイト(工場敷地内に設置できる)型アンモニア生産システムは、世界初の試みとなり、今後、食品メーカー以外にも医薬品や肥料メーカーなどからも注目される可能性が高い。味の素と細野教授らは新会社でまず実用化に向けた研究開発を進め、将来的には、様々な業種のメーカーでの同システムの導入を進めていく考えだ。

「つばめBHB」は素材分野に投資するベンチャーキャピタル(VC)ユニバーサルマテリアルズインキュベーター(東京・中央、月岡誠一社長)が管理運営するUMI1号投資事業有限責任組合が53%、味の素が44%、細野教授らが3%出資する。出資総額は4億5000万円。

(黒瀬泰斗)

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