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賃上げならロボ導入? 米マクドナルド「時給15ドルの戦い」

賃上げは、ロボットに仕事を奪われるきっかけになるのではないか――。米マクドナルドで、こんな論争が勃発した。米国では、ファストフード業界を中心に店舗従業員の時給を最低15ドルに上げる運動が盛り上がっている。将来の労務コストの上昇を防ぐため、ロボットを活用すべきか、ファストフードの世界最大手で議論に火がついた。

マクドナルドが26日に開いた株主総会。欧米メディアによると、スティーブ・イースターブルック最高経営責任者(CEO)は、「雇用の消失にはつながらない。単純作業をオートメーション化する一方、我々は来店客に『ベター・ダイニング・エリア・エクスペリエンス(より良い食事空間の体験)』を提供するために人員をさける」と述べた。

なぜ、総会の場で、店舗作業のロボット化について言及したのか。

発端は、1990年代に米国事業の責任者をつとめていたエド・レンジ氏の発言。米メディアによると、同氏は今回の株主総会を前にして「時給を15ドルに上げるのなら、ロボットを導入した方がコストを抑制できる」と発言し、従業員の労働者の批判が強まっていたという。

マクドナルドでは、昨年の労使交渉で最低賃金を10ドルまで引き上げたが、さらに15ドルまでの上積みを狙おうとする動きが労働者に広がっている。レンジ氏の発言は、OBながら、こうした動きをけん制する「経営者側の本音」と受け取られたのかもしれない。

米国では一部の富裕層に富が集中する格差問題への批判が広がっている。ファストフード業界では、「時給15ドルの戦い」と呼ぶ店舗従業員の待遇改善運動が全米に広がっている。

そもそもは、ニューヨーク州の最低賃金を時給8.75ドルから15ドルに引き上げようとする目的。ファストフードの代表格であるマクドナルドの賃金動向は象徴的な意味を持つ。

ただ、運転や接客、生産などの様々な現場でロボットや人工知能(AI)の進歩は続き、オートメーションの波は一段と強まっている。英オックスフォード大のマイケル・オズボーン博士が2013年に発表した著名な論文では、20年後までにファストフード店の料理担当がロボットやAIに取って代わられる可能性は81%だという。

マクドナルドで起きた論争は、他のファストフード企業や流通大手にも広がっていく可能性がある。

(湯田昌之)

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