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出光販売店、創業家揺さぶり 昭シェルとの合併

迫る期限、推進要望

出光興産昭和シェル石油の合併に出光創業家が反対している膠着状態が解ける糸口が見えてきた。出光販売店でつくる全国組織が26日開いた理事会で合併推進を求めることを決定。創業家は思わぬところから揺さぶられた格好で、歩み寄る姿勢を見せないと販売店の離反を招きかねない。2017年4月の合併実現に向け、事態は緊迫してきた。

午後5時30分、東京都千代田区のホテルニューオータニ。地下の宴会場「翔の間」で開かれた「全国出光会」の理事会が予定より30分遅れて終了し、遠藤祐司会長(前橋市にあるサンワの会長)が姿を現した。「とにかく経営陣と創業家が直接、腹を割って話してほしい」。報道陣にかみしめるように語り、全国出光会の働きかけが両者の歩み寄りを促すことに期待を示した。

内需減に危機感

出光の系列給油所は全国に約3700カ所あり、運営を約800の事業者が担っている。午後3時半に始まった理事会では、16人の理事らから現状を憂慮する声が次々と上がり、合併を滞りなく進めるべきだとの意見でまとまった。7月11日以降中断している経営陣と創業家の協議再開を求めることも決定。創業家に対して「全国出光会の思い」と題する書簡を送り、同会と対話の場を設けることも要請する。

出光がほとんど出資していない独立事業者の販売店が自ら声をあげるのは、内需減が止まらず、石油業界の先行きへの危機感が強まっているからだ。遠藤氏は「石油元売りの再編で供給過剰を是正しなければ販売現場も厳しいままだ」と指摘。元売りとの共倒れを避けたい意向をにじませる。

販売店の決起は事態打開の糸口となりうるのか。販売店の動きを察知した創業家は23日付で合併反対の意思を示す書簡を全国の販売店各社に送付し、かたくなな姿勢を崩していない。しかし、あるライバル会社の幹部は「合併が破談になれば、ほかの元売りに乗り換える販売店は必ず出てくるだろう」と指摘する。創業家が狙う合併阻止が実現すれば、商品供給先が減り、収益基盤を弱める結果を招きかねない。

創業家も販売店の離反は避けたいところだろう。経営陣はこうした心理が働くことに期待する。だが、理事会後に創業家代理人は日本経済新聞に対し「23日の書簡を販売店への回答にしたい」と述べ、出光昭介名誉会長が直接対話に乗り出す考えがないことを強調した。遠藤氏は理事会開催前に都内の出光美術館を訪れ、昭介氏との面会を求めたが、不在を理由に実現しなかったという。

「家族」が決起

出光の販売店は他の元売り系列に比べて、事業者の規模が小さい。その分、創業者の出光佐三氏が唱えた「大家族主義」などの経営理念が浸透しており、結束は強い。出光、販売店の双方に家族の一員との意識が根付いており、今回はいわば身内の決起といえる。

06年に実現した株式上場も当初は昭介氏が反対したものの、多くの販売店が上場推進派の天坊昭彦社長(当時)を支援し、最終的に株式も保有した。遠藤氏は「創業家側は社風の違いを反対理由に挙げるが、同じ日本人として必ずわかり合える」と語った。

経営側は10~11月に昭シェル株を33.24%買い取る計画だが、創業家側は昭介氏が昭シェルの40万株(0.1%)を取得し、阻止する構え。さらに33.92%の出光株を持つだけに年内に開く臨時株主総会で合併承認案を否決に追い込む考えだ。

刻一刻と合併に必要な手続きの期限が迫る中で販売店の動きは、創業家にとって"伏兵"の登場と映っているかもしれない。販売店の要請を少しでもくみ取らなければ、創業家に対する株式市場や業界関係者の視線は厳しくなるだろう。

(西岡貴司、指宿伸一郎)

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