2019年6月16日(日)

VAIO、小兵でも稼ぐ 16年度の経営方針発表

2016/7/26 23:30
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パソコンメーカーのVAIO(バイオ、長野県安曇野市)は26日、2016年度の経営方針を発表した。ソニーから分離して3年目。前期は営業黒字化を果たし、今期は増益を見込む。市場の逆風が強まるなか、販売がピーク時の約40分の1で国内シェア2%の「小兵」がどう勝ち残るのか。

新しいコア事業の立ち上げ方針も示した大田社長(26日、東京都中央区)

新しいコア事業の立ち上げ方針も示した大田社長(26日、東京都中央区)

「今は他社との統合や提携の話はない。未来永劫(えいごう)単独で生きていける」。東芝富士通のパソコン事業との統合構想は今春破談したが、VAIOの大田義実社長は都内で開いた記者会見で自信を見せた。

15年の国内パソコン出荷は19万台(IDCジャパン調べ)で海外向けはわずか。ソニー時代は10年度に870万台だった。設備や人員のリストラを進めたとはいえ、規模がこれだけ縮小すれば量産効果も激減する。だが、開示している12年度以降続いていた営業赤字は15年度に脱し「今年度は増益を見込む」。

国内のパソコン市場は15年に14年比約3割減と厳しい。黒字を確保できるのは、小さいならではの強みを生かすからだ。

薄型・軽量で高性能を売り物にした10万~20万円程度のノートパソコンが軸で、市場で売れ筋の数万円の機種は扱わない。主力機種数は5と、大手の十数機種に比べると大幅に少ない。調査会社MM総研の中村成希執行役員は「大手はそう割り切れない」とみる。

「ビジネスパーソンが評価する製品に集中する」(大田社長)。ある機種ではタッチペンで画面上に描く際の感触を徹底的に改善し、イラストレーターや漫画家の需要を狙う。会議中も使いやすいよう、キーボードをたたくときの音を形状の工夫で小さくした。性能へのこだわりは「作りの良さを感じた」(50代男性)というように一般顧客の満足度も高める。

社員数は240人と少なく部門間の壁は低い。製品の開発から生産、販売まで一人の責任者が担当する。顧客ニーズを開発に反映させ、製品ごとの収支管理を徹底させるためだ。

「新製品を設計した技術者を法人向けの営業にもあたらせるようにした」(大田社長)。技術的な視点から顧客の要望や悩みを聞き出し、次の製品に生かす。大手では開発した技術者が営業にあたることはまずない。

一方、大手は苦戦が目立つ。国内2位の富士通は15年度に「3桁(億円)の赤字」を計上し、同3位の東芝は事業の大幅な縮小に追い込まれた。利幅が薄い標準的な機種で価格競争に巻き込まれたり、機種が多すぎて収支管理ができなかったりしがちだ。ソニー時代のVAIOも同様だ。

小さくても健闘するのはVAIOばかりではない。国内シェア2%で、頑丈な企業向けに絞り込んだパナソニックはパソコン事業で黒字を確保。ゲーム用などマニア向けパソコンが得意なマウスコンピューター(東京・千代田)も利益を出す。

日本の電機産業は一時、世界を席巻したものの、中国勢などの台頭で新たな戦い方が必要になっている。量を追うのは限界がある。小さくても強みを補完し合う再編もこれからはありうる。(竹居智久)

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