日清食品HD、中国企業との合弁解消 独自の販売網活用へ
日清食品ホールディングス(HD)は26日、中国での即席麺の合弁事業を解消すると発表した。共同出資企業の持ち株を相手企業に売却する。売却額は約86億円。今後は強みを持つ香港や上海など大都市を中心に独自の販売網を活用してシェアを拡大する戦略に特化する。

売却するのは、今麦郎グループ(河北省)と共同出資で香港に設立した即席麺の製造・販売会社など3社。保有株式を全株、今麦郎グループに売却し、資本関係を解消する。3社への日清の出資比率はそれぞれ14~15%だった。2004年に合弁設立を発表し、これまでに135億円を投資してきた。合弁解消で11億~12億円の売却損を15年10~12月期に計上する見通しだが、今年度の業績予想には織り込み済みだとしている。
日清は中国での事業拡大を目指して今麦郎グループと提携したが、低価格で農村部に強い今麦郎と、都市部の中間層に強い日清では戦略に大きな違いがあった。
日清は今回の合弁とは別に、既に香港や上海など主要都市に独資で現地法人などを設立している。現地版のカップヌードル「合味道」の販売に力を入れており、現地法人による日清の中国事業の売上高は345億円(14年12月期)だった。16年以降、中国で新たに2工場を稼働させ、供給能力を高める。

日清は海外での合弁事業を解消し、自社での販売拡大に動いている。約65%のシェアを持つブラジルでは、8月に味の素と折半出資する現地メーカーを完全子会社化すると発表した。1975年から味の素が販売とマーケティング、日清食品HDが開発や生産を担当してきたが、自社で手掛けることで、シェアの一段の拡大を目指している。
世界ラーメン協会によると、2014年の中国(香港含む)の即席麺需要は444億食と世界市場の43%を占める。日本の約8倍にのぼる大市場で日清は今後、独自の販売網構築やブランド育成など自社展開を強化する。
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