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再生エネにかける 田畑奪った自然を味方に

産業つくる

 被災地で再生可能エネルギーを核に産業を復興しようという取り組みが増えている。自然の力は地震、津波という脅威を引き起こすが、発電技術を使えば生活のためのエネルギーにもなる。発電所建設や部材生産で地元経済にも波及効果が見込めると再生エネにかける動きが広がっている。

津波に襲われた福島県相馬市の水田。この地で光り輝く太陽光パネルが次々に敷設されている。

「ようやくここまできた」。発電所を建設中の半導体関連部品のアドバンテック(東京・千代田)の石本祐子ソーラー事業部長は完成を心待ちにする。震災後、候補地を探す中で同市の立谷秀清市長と出会い「再生エネで被災地を復興しよう」との思いで一致した。

津波浸水地域で設置工事が進む太陽光発電パネル(福島県相馬市)

だが建設には約60人に上る地権者の同意が必要。遠隔地へ避難するなど居場所が不明の人も多い。石本部長は一人ひとりを訪ね歩き、「通常は計画策定から発電まで1~2年程度だが、4年ほどかかった」という。太陽光発電所は今春にフル稼働し、約3千世帯分の電力を供給する予定だ。

空き地などに太陽光パネルを置けば手軽に発電できることから、被災地では小規模な発電設備の設置も増えている。

三菱商事子会社の小名浜石油(福島県いわき市)も太陽光発電に乗り出した。「取締役会に臨むためネクタイを締めていたら大きな揺れに襲われた」。小松隆行社長は背筋が凍り付いた。従業員は無事だったが、石油タンクの基礎部分が沈下するなどの被害を受けた。

復旧工事後、工場の空いている敷地に着目。震災後、被災地ではガソリン不足や停電に悩んだ。小松社長は「石油も太陽光もエネルギー。生活を支えるエネルギーを地元に供給したい」と願う。

2012年に導入した再生エネの固定価格買い取り制度は当初、普及のため買い取り価格を高く設定したことから「太陽光バブル」が発生。設備の認定を取得しても稼働が遅れるなどの問題が相次いだ。だが被災地では太陽光以外の発電への取り組みも活発になっている。廃棄物リサイクルのアミタホールディングスは発酵した生ごみから出るガスを燃料にしたバイオガス発電所を宮城県で昨秋に稼働させた。

会川鉄工(福島県いわき市)は風力発電用の支柱の生産に参入した。大型風車の支柱は上部ほど細い。「成型には技術力が必要になる」(会川文雄社長)と、試行錯誤しながら高さ約40メートルの支柱を製造した。地元の中小企業も自社技術を磨き、復興を後押ししている。

産業技術総合研究所は14年に「福島再生可能エネルギー研究所」を開設した。「被災地の企業が持つ技術の潜在力は大きい」(大和田野芳郎所長)とみる。アサヒ電子(同県伊達市)は同研究所と連携し、太陽光パネルの列を効率的に検査できる装置を開発した。

被災地を支える新産業が芽吹くのか。再生エネを生かした被災地での取り組みに期待が集まる。

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