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ソニー社長「感性に訴える商品こそ、エレキのあるべき姿」

ソニーの平井一夫社長兼最高経営責任者(CEO)は25日、日本経済新聞などの取材に応じた。10年後のソニーの姿について、「コンテンツ、サービス、商品を通じてお客様に感動を届けられる会社」と述べた。復活を目指すエレクトロニクス商品については、「感性に訴える商品をもっともっとやらないといけない。それがエレキの将来のあるべき姿だ」と強調した。主なやりとりは以下の通り。

平井一夫社長

顧客に「すごい」と言われる商品を

――5~10年後のソニーの姿をどのように描いていますか。

「まずは、2015年度からの3年間で、成長に向けた投資をしなければならない。その先については概念的になるが、コンテンツ、サービス、商品を通じ、お客様に感動を届けられる会社になりたい。もう少し、具体的に言うと、2つの観点がある。ひとつは『機能価値』だ。不便を解消し、お客様に『すごい』と言われる機能の優れた商品を出さなければならない」

「コモディティー化や価格競争があるなか、何をできるか。ソニーは創業以来、『感性価値』をとても大事にしてきた。どんなにスペックが良くても、デザインや手にしたときの質感がしっかりと仕上がっているか。友人に見せたくなるかどうか。人は感性が合うモノにはお金をかける。ハイレゾ対応のウォークマンの最上級機『ZX2』は価格は12万円するが、訴える感性の次元がこれまでのウォークマンと異なる仕上がりになった。一時期、この部分を失ったかもしれないが、感性に訴える商品をもっともっとやらないといけない。それがソニーのエレキの将来のあるべき姿だ」

分社の狙いは人材育成

――15年度から3カ年の中期経営計画で分社化推進を掲げた理由は。

「分社化推進で一部、誤解を招いた部分がある。まず、分社化が即、事業売却や撤退とイコールではない。目的はあくまでも各事業の自立を促し、競争力をさらに高めることだ。さらに事業体にはそれぞれの環境下で機動的に動ける権限を与え、経営責任を明確にする。ソニー全体を高収益企業につなげる手段のひとつだ」

「分社化は以前から積極的に実施している。実際、ゲームやモバイル、映画、音楽、金融などソニーの多くの事業はすでに分社化されている。ソニーの売り上げのうち7割を分社化した会社が占める。分社した事業はいずれも重要で立派なソニーファミリーだ」

「経営者となる人材を育てる狙いもある。各事業のトップは『事業部長』ではなく、経営者の視野で広く経営を心がけてもらう。4月以降の新しい経営体制はそのような視点から人選した。分社した事業の運営は遠心力と求心力のバランスが求められる。このバランスをとれる人材を選んだと思っている」

――本社の役割はどうなるのでしょうか。将来は持ち株会社へ移行しますか。また、子会社上場についてはどう考えますか。

「本社の役割はコーポレート戦略、ガバナンス、新規事業創出を中心とする。事業部に移る前段階の研究開発(R&D)の一部機能も担う。分社によってプラスとマイナスは発生するだろう。本社がここを調整し、『ワン・ソニー』で活動させる。持ち株会社(HD)はいろんな意見がある。決してHDを否定するわけではないが、まずはHDありきではなく、あくまでも事業を分社していくことがポイントとなる。子会社上場も否定はしない。ただ、なぜ上場が必要なのかについて説明責任が非常に重要になる。上場して資金調達することにはプラスとマイナスの両面がある。ガバナンスの観点でプラスになるか否かをよく考える必要がある」

――分社化を推進するなか、事業売却や撤退で基準はありますか。

「分社した事業を売却、撤退したり、他社と資本提携したりすることは可能性としてある。ただ、各事業でリスクや環境は当然異なる。一般論になるが、ソニーグループに収益やブランドで貢献しているか。あるいは他の事業へのインパクトも考えないといけない。競合他社と比べ、優位性はあるか否か。市場全体が伸びるのか縮むのか。縮む市場でも差異化要素でマーケットを取れるのか。今後、投下資本利益率(ROIC)の目標を事業ごとに設定し、ビジネスを回していく。事業トップが責任をもって効率よく経営できる事業ポートフォリオになっているかを考える」

顧客との関係構築で重要なテレビ事業

――テレビ事業の環境をどう考えていますか。

「一言でいうと、厳しい環境に変わりはない。なぜ、テレビ事業を残しているか。黒字経営を前提とすると、ソニーは白物家電を手掛けていない。家庭で『SONY』と触れられる商品がプレイステーションやテレビなどあまりない。家庭の一等地にあるテレビの存在は大きい。顧客との関係構築でも重要だ。映像処理技術はスマートフォン(スマホ)など他の事業へのインパクトもある。黒字化前提だが、他の事業への波及効果やブランド効果を考えると、ビジネスを継続していく必要がある。まだ、在庫を減らしてROICをあげられるビジネスと考えている」

――4月に吉田憲一郎執行役EVPと鈴木智行執行役EVPが副社長に昇格する新体制になります。役割分担は。

「私は社長として会社の事業ポートフォリオのマネジメントや基本戦略の方向性、ビジョンを考え、ビジネスに落とし込むことが役割だ。そして、エンターテインメントや金融、エレキが『ワン・ソニー』でグループとして強みを発揮できるようにする。吉田氏は財務や管理系で貢献してもらう。鈴木氏は副社長という一段高いポジションで、全社的な視点で、ソニーのエンジニアの代表として技術面でバックアップしてもらう。投資をどう配分するか。知見と経験を生かし、技術戦略を練ってもらう。世代交代を進めた第2次経営チームで、利益創造と成長投資をしていく」

――15年度に連結営業利益で4000億円を「目線」としたが、変わりはありませんか。

「昨年に示した4000億円の『目線』は現段階で変わりはない。ただ、為替の悪影響が来年度に1000億円はある。簡単な数字ではない。構造改革を終えたソニーが目指す利益水準としての目線は維持する」

(星正道)

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