ドローン、老朽インフラ調査に照準 デンソー
デモ飛行公開

2017/5/25 17:08
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トヨタ自動車グループの中核部品メーカーのデンソーは25日、実用化に向けて開発中の小型無人飛行機「ドローン」のデモ飛行を報道陣に公開した。日本全国にある橋梁が老朽化していないかどうか、ドローンに搭載したカメラでチェックするシステムの実用化を進めている。非自動車分野を収益源とする一環で始めたドローン事業は、インフラ点検という官公需が照準だ。

橋梁点検のデモ飛行をするデンソーのドローン(25日、愛知県知立市)

愛知県知立市の高速道路下。デンソーのドローンが離陸すると、橋脚をなめるように接近飛行した。1秒2枚ペースで撮影した画像では、2メートルの距離から0.15ミリメートルのひび割れが判別できる。法定で記録が求められる0.2ミリメートルを上回る精度がある。

「実用化レベルに近づいており、事業化を加速したい」。新事業担当の荒川智之常務役員は力を込める。ドローン単品ではなく、撮影した画像をディープラーニング(深層学習)で分析することなども含めたシステムを開発中。点検を担う事業者にシステムで販売したい考え。2019年ごろの実用化を目指す。

橋梁の老朽化は通常、点検士による目視で点検している。デンソーが狙うのは海上の大橋梁や幅や高さが大きく作業者のアームが届かない大型橋梁。全国に数万ほど存在し、5年に1度点検する必要がある。伸びしろの大きい分野だ。

デンソーが、狙いを定めたのは官公需。縁遠い分野だったが手も打ちつつある。4月には岐阜県の各務原大橋で行われた国の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の実証実験に参加。ロボティクス開発室の加藤直也室長は「(規制緩和の)ガイドラインづくりにも貢献していきたい」と意欲的だ。

立ちはだかるのは「売る」というハードル。荒川常務も「最も苦手」と認める。持ち前の技術力でいい製品を作ることはできるが、市場のニーズを捉えるのは不得意。長年、トヨタを中心とした自動車メーカーという特定の顧客を向いた仕事で成果を上げてきた裏返しでもある。

「市場規模はまだ算定中」――。加藤室長の答えに象徴されるように、ドローン事業は、作り手の事情で開発が動き出すプロダクトアウトで始まった。政府はドローンをインフラ点検で利用できるように規制緩和を検討しており、実現すれば本格的に事業化の道が開ける。

08年のリーマン危機をきっかけにドローンを含む8つの新事業に手をつけたのは、自動車部品頼みの収益構造から脱却する狙いがあった。インフラ点検用のドローンが軌道に乗れば、脱皮の時になる。  (横田祐介)

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