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デジタルが促すメディア大競争 日経、英FTを買収

日本経済新聞社は英有力経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)グループの買収を決めた。アジアと欧米というそれぞれの強みの地域をカバーし合い、電子版事業を活路にグローバルメディアとして地歩を固める。スマートフォン(スマホ)などデジタル携帯端末の急速な普及で、メディアをとりまく環境は国境や業態を越えて激変する。両社は相乗効果を生み出して世界規模のメディア競争に挑む。

「日経はデジタルとグローバルの2つを軸に成長していく」。日経の喜多恒雄会長は24日、東京都内で開かれた記者会見でこう強調した。FTの買収額は約1600億円。国境を越えた新聞メディア同士の買収では、1999年に「USAトゥデー」を発行する米ガネットが英ニュースクエストを16億ドル(約2千億円)で買収した事例に次ぐ規模となる。

日経は今後、FTとコンテンツの相互活用などで連携を強めていきたい考え。日経は2013年に「Nikkei Asian Review(NAR)」を創刊した。アジアの経済ニュースを英語で世界に発信する取り組みだ。海外で競争力の高いFTのコンテンツを日経の読者に届けていく方針。

企業向けサービスのグローバル展開も視野に入れる。日経は「日経テレコン」など経済・企業情報のデータベースや市況情報を主に国内の企業向けに提供している。今後はアジアの経済・企業情報をFTと協力して拡充し、データベースとして世界で販売したい考えだ。

FTは1995年に電子版を立ち上げ、デジタル分野での取り組みで業界をリードしてきた。10年に電子版を創業した日経と合算すれば電子版の有料購読者数は計93万人を超える。岡田直敏社長は記者会見で「両社のノウハウを生かし、読者開拓や新サービスの開発を進める」との考えを示した。顧客管理システムなどFTが持つ強みを日経に取り込む方針。

インターネットの誕生でメディアの競争環境は劇的に変わった。スマホなどの普及を背景に「デジタルと紙をミックスした競争は世界規模で進んでいく」(岡田社長)

欧米では中間流通を飛び越えるネットの力で、紙媒体のメディアを全国の購読者に届ける配達網の強みがそがれつつある。広告収入を主体とする伝統的なメディアは体力が低下気味だ。メディアの記事を集めてコストをかけずにコンテンツを配信し、ネット広告で稼ぐ新しいタイプの専業メディアも台頭している。

大手メディアも再編のうねりから無縁ではいられない。ネット通販大手の米アマゾン・ドット・コムの創業者、ジェフ・ベゾス氏が米国の名門紙「ワシントン・ポスト」を買収した。インターネットサービス大手のAOLは、05年に創業したばかりのネットメディア、ハフィントンポストを11年に傘下に収めた。業態や国境を越えた再編が加速している。

経済のグローバル化とデジタル化の進展はメディアの国際展開を促す。英語圏ではすでに米国と欧州のメディアがお互いの市場に乗り入れ、国境を越えて読者を奪う動きが激しくなっている。

一方でメディアは各国の文化を反映し、規制も異なることが多い。M&A(合併・買収)したとはいえ、単純に組織や媒体を融合するには壁も高い。組織の運営体制も含めて買収後の具体的な成長戦略をどう描くかが問われてくる。

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