2019年2月17日(日)

東京ガス、首都圏で電力連合 中堅ガス5社と提携

2015/11/24 21:46
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電力小売りの全面自由化に向けて、東京ガスが首都圏の足場固めを急いでいる。24日、武州ガス(埼玉県川越市)など中堅のガス事業者5社と提携すると発表した。都市ガスの卸供給先である各社を通じ、東ガスが発電した電力を主に家庭向けに販売する。「気心の知れた」ガス事業者と連合を組むことで東京電力が独占してきた最大市場の切り崩しを狙う。

電力販売で提携する5社の幹部と円陣を組む東京ガスの広瀬道明社長(左から3人目)

電力販売で提携する5社の幹部と円陣を組む東京ガスの広瀬道明社長(左から3人目)

「我々は最大の武器である既存の企業関係を生かしていく」。東京都内で開いた記者会見で東ガスの広瀬道明社長はこう語った。2016年4月の全面自由化によって、電力小売りの主戦場とされる首都圏では2兆8000億円以上という巨大な市場が開放される。東ガスは一般家庭と強いつながりを持つ地域のガス事業者の販路を生かす戦略を前面に打ち出す。

東ガスは武州ガスのほか、東部ガス(東京・中央)、坂戸ガス(埼玉県坂戸市)、昭島ガス(東京都昭島市)、太田都市ガス(群馬県太田市)と提携する。東ガスの供給エリア外に5社が持つ首都圏の顧客基盤は40万件弱。東ガスの電力と各社のガスのセット販売などで契約獲得を目指す。

20年に首都圏の電力小売りでシェア1割を目標とする東ガスはガス機器の販売店「東京ガスライフバル」の営業網を通じた顧客獲得の青写真を描いてきた。しかし、市場調査を重ねるに連れて、目標は「桁を1つ間違えたかもしれない」(広瀬社長)というほど社内に危機感が広がっていた。

電力販売の自由競争は東ガスには「前哨戦」の意味合いもある。17年の都市ガスの小売り自由化では東ガスが約1100万件の顧客基盤の維持に奔走する立場に回る。電力小売りの収益基盤を固めておかなければ、その先にある本丸のガス事業で自由競争に打ち勝つことはできない。

「正直なところ、今回の提携がまとまり胸をなで下ろしている」。東ガスの広瀬社長は本音を漏らす。長年の卸供給で強固な関係を築いた中堅の囲い込みは東ガスが今できる最も手堅い戦略だった。自由化の波にさらされるのは地域のガス事業者も同じ。坂戸ガスの茂木通則社長は「(電気もガスも)自由化の大競争時代に突入する。都市ガス1本でこれからは生きていけない」と語る。

東ガスは海外から調達した液化天然ガスを都市ガスに加工するなどし、パイプラインなどで地域のガス事業者に卸供給。それぞれのガス事業者は自前のパイプラインで一般家庭などに販売している。提携する5社のほかにも30社以上の卸供給先を持つ東ガスは小田原ガス(神奈川県小田原市)などとの連携もすでに視野に入れている。

東電は牙城とする首都圏でのシェア維持を最優先課題に掲げ、ソフトバンクや日本瓦斯、TOKAIホールディングスなど異業種と提携。通信やガスと電力のセット販売を準備する。最大需要地を巡っては関西電力や中部電力など他地域の電力大手も進出をうかがい、家電量販店のノジマと組んで電力販売に乗り出すJX日鉱日石エネルギーなどの異業種の参入も相次ぐ見通しだ。

電力、ガスという業界の垣根がなくなる自由化の時代。単独での生き残りが難しくなるなか、東ガスは地域のガス事業者の持つきめ細かな営業網を強みにシェアの積み上げを目指す。業種にも規模にもとらわれない提携戦略が熱を帯びてきた。(志賀優一)

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