「安全のスバル」次は歩行者エアバッグ 試験を初公開

2017/5/24 17:29
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SUBARU(スバル)が車の安全性能で意地を見せている。主力車「インプレッサ」と多目的スポーツ車(SUV)「XV」が国土交通省などが実施している衝突安全性能評価で最高評価を得た。自動ブレーキなどの運転支援システム「アイサイト」のヒットで、世間に「スバル=安全」という印象を与えた。中期経営計画で掲げる「総合安全ナンバーワン」へ着実に歩みをすすめる。

トヨタ自動車の「クラウン」からインプレッサが王冠を奪取――。衝突安全性能評価は乗員や歩行者の保護性能などを点数化して決まる。点数が歴代最高を更新すると「大賞」に選ばれる仕組みだ。最新の2016年度、スバルのインプレッサが大賞を獲得。大賞が出たのは13年度のクラウン以来、3年ぶりだ。

24日、スバルは群馬製作所(太田市)で衝突試験を報道陣に公開した。100人規模への公開は初めて。16年度からほぼ全車種に採用する新たなプラットホーム(車台)は強さを従来より4割高めた。このほか歩行者保護エアバッグを国内メーカーとして初めて標準搭載した。

ガシャーン。硬いものがぶつかり合う乾いた音が群馬製作所の試験場内に響いた。車の前方のうち、全幅の40%だけを障害物にぶつける「オフセット前突試験」と呼ばれるものだ。わずか0.03秒。試験車のXVはわずかに浮き上がり、跳ね返った。

「理想の形です」。衝突試験後のXVを見て、担当者はつぶやいた。車内のエアバッグが開き、フロントガラスより前は大きくつぶれた。だが、ガラスは割れず、運転席のドアの開閉もできた。

このほか、歩行者保護エアバッグが開く様子なども公開した。「降雪や温度変化など、どんな外部環境でも正常に作動する。でも小動物やショッピングカートでは開きません」。担当者はセンサーの技術に自信をのぞかせた。

自動車業界にはこうした安全性能について、「競争しない協調領域にしたほうがいい。そこで競争していても、ほぼ同じような技術になる」と指摘する関係者もいる。車両の横滑りを防ぐABSや車内のエアバッグなど、いまや当たり前となっている技術と同様になるというわけだ。ただ歩行者エアバッグも装置をそのまま搭載すればよいというわけではなく、バッグが適切に開くための隙間の作り方やクッションの形状など、設計のノウハウで性能に大きな差が出る。

スバルにとって「安心」の柱は運転支援システム「アイサイト」だ。カメラで周囲の状況を把握して車の動きを制御する。1989年に運転支援システムの開発を開始。2010年に出したアイサイト第2世代に自動ブレーキを搭載して顧客層を大きく広げた。

アイサイトを進化させることで17年に高速道路の単一車線上を自動運転する車種を投入し、20年には車線変更も可能にする。吉永泰之社長は「大手のように全部をやることはできない。自分たちの特長があるところ、アイサイトなど安全性能では絶対に負けたくない」と強調する。スバルは17年度の研究開発費で16年度実績比17%増の1340億円と、過去最高を計画する。安全技術や電気自動車(EV)など次世代技術向けの資金を積み増す。

飛行機会社を源流とし、落ちることが許されない飛行機を作る航空宇宙部門を現在も抱えるスバル。自動車でも国内で安全基準ができる30年前の1965年から独自の衝突試験を始めていた。すべての安全技術が完全にコモディティー化するまでは常に「先進」を顧客に提供する。そんな覚悟がある。(湯沢維久)

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