2019年1月19日(土)

東芝4事業分社 転籍2万人超、再建へ士気保てるか

2017/4/24 14:28
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経営再建中の東芝が24日、社会インフラなど主要4事業を7月から順次本体から分社すると発表した。各事業の経営の自律性や機動力を高める効果を狙うが、事業に必要な建設業の許可を維持するために打つ守りの一手の意味合いが大きい。苦境下での分社は従業員の一体感を弱める恐れもあり、再建への道筋はなお不透明だ。

東芝は発電機器やインフラ関連の機器などの設置や納入といった大規模工事に必要な特定建設業の許可を受けており、5年に1度の更新期限が2017年12月に迫る。建設業法などでは大規模工事をする企業に財務の健全性を求めており、一定の資本金や自己資本といった要件を満たす必要がある。

だが東芝は米原子力事業会社、ウエスチングハウスの法的整理に伴い巨額損失を計上。17年3月期に6200億円の債務超過に陥る見通しだ。このままでは許可要件に抵触し事業継続ができなくなる恐れがあった。今回は建設業の許可をすでに持つ子会社に事業を承継させたり、新会社で免許を取得したりして関連の許認可を維持する苦肉の策だ。

分社対象とするのは、水処理や鉄道システムなど社会インフラ、火力発電などに現在は社長直轄としている原子力を加えたエネルギー、メモリー以外の半導体やハードディスク駆動装置などの電子デバイス、ICT(情報通信技術)ソリューションの主要4事業。エネルギーは6月にも開く定時株主総会の承認を得たうえで10月1日に、それ以外は7月1日付で分社する予定だ。

東芝本体には管理部門や基礎系研究所などが残る。分社で本体からの転籍対象となるのは、東芝単体の従業員数の約8割にあたる2万人。これに加えて本体の管理部門からも転籍させることを検討中だ。グループ会社を含めると2万4000人が新会社に移る計算だ。現在、株式の過半売却について手続き中の半導体メモリー事業は既に新会社「東芝メモリ」として4月1日に分社し、約9千人が転籍した。

東芝は1999年に社内カンパニー制を導入。昇降機や空調、POS(販売時点情報管理)事業などは既に分かれている。15年に発覚した会計不祥事後の大リストラを経て本体の社内カンパニーは社会インフラ、エネルギー、半導体、ICTの主要4部門に編成し直した。グループにはすでに分社した会社が多いうえに、社内カンパニーを採用していたことで今回の分社は「さほど影響がない」(関係者)との見方もある。

一般的に、分社には経営の自律性や機動力の向上、選択と集中が進み事業再編がしやすくなるといったプラス効果がある。一方で、グループとしての一体感や求心力の低下、解体への連想など従業員の士気には影響が出そうだ。給与などの待遇は当面維持する方針だが、分社する各部門での採算性が厳しく要求されれば待遇が一律ではなくなる可能性も出てくる。

東芝のある社員は「東芝に入ったのであって、分社会社に入ったわけではない」と寂しげにつぶやいた。分社を武器に再建への道を歩むには、社員との一体感も鍵となる。(大本幸宏)

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