2019年3月24日(日)

サントリー、創業家に託す底上げ 酒類の新会社

2017/1/24 14:41
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サントリーホールディングス(HD)は24日、4月に組織再編すると発表した。国内のビール事業会社を含めた酒類事業を束ねる新会社をHD傘下に新設し、社長に創業家出身の鳥井信宏副社長が就く。サントリーにとってビールは参入から半世紀かけて黒字を生んだ「やってみなはれ」の象徴でもある。次のHD社長と目される鳥井氏にビールの成長を託す。

4月1日付で設立する「サントリーBWS」の傘下に、ビール事業を所管するサントリービール、国内営業のサントリー酒類、ワイン事業のサントリーワインインターナショナルの各事業会社を収める。サントリービール社長にサントリー酒類の山田賢治常務が就く人事なども決めた。

これまで各事業会社は独立採算で運営してきた。ただ、国内の酒類事業を束ねることで、全体として意思決定や実行がスピードを速められるとの期待がある。ワイン事業などの成長にとどまらず、組織再編の大きな狙いの1つは、国内事業のなかでも大きな規模に育ったビール事業の底上げだ。

そもそもサントリーにとってビール事業の重みは大きい。1963年に佐治信忠会長の父で2代目社長の佐治敬三氏が参入を決めた。だが、大ヒット商品に恵まれないうえ、高いシェアを持つ競合の壁に阻まれ、ウイスキー事業の稼いだ利益を食う「お荷物」状態が長く続いた。

転機は2003年に誕生した「ザ・プレミアム・モルツ(プレモル)」。高級ビールの市場を大きく育てたほか、07年には第三のビール「金麦」を発売。参入46年目となる08年に悲願の初黒字を達成し、サッポロビールを抜き、業界3位に浮上した。

サントリーの執念を体現するともいえるビール事業だが、安泰ではない。ビール市場全体の縮小などを背景に足元での成長は鈍化しつつある。16年のビール系飲料の販売は15年比2.9%減と落ち込んだ。

将来的な不安要素もある。政府は16年末に、10年後をめどにビール系飲料の税額を一本化する方針を決めた。段階的にビールは減税になり、第三のビールは増税になる。第三のビールの販売が7割を占めるサントリーはこのままではビール販売が落ちかねないとの見方もある。

鳥井信宏氏はサントリー創業者の鳥井信治郎氏のひ孫で、佐治信忠会長の前任社長である鳥井信一郎氏の長男。飲料子会社、サントリー食品インターナショナルのトップとして上場を果たすなどの実績を挙げ、16年にHD副社長に転じた。

次期社長を見据えた立場の鳥井氏が取り組むことになるのは「プレモル」の再成長だ。サントリービールは今後数年は大型新商品を投入を抑え、プレモルに投資を集中させる方針を掲げる。「高級ビールはまだ開拓できる」(サントリー幹部)。創業家として求心力の発揮が求められる。

サントリーは14年に創業家以外から初のトップとして新浪剛史社長を迎えた。その新浪氏は14年に約1兆6千億円を投じて買収した米蒸留酒大手ビーム(現ビームサントリー)との統合作業に力を注ぎつつ、グループ全体に目配せする。

サントリー食品で海外企業の大型M&A(合併・買収)なども指揮してきた鳥井氏は、今度はサントリーBWSのトップとして国内事業を託され、新浪氏とのグループにおける分業体制がより明確になる。ビールを再び成長軌道にいつ乗せるかが、「バトン」継承のタイミングを占ううえで最大の焦点となる。(名古屋和希)

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