タカタ、民事再生法適用を申請 負債総額3800億円
米子会社も破産法申請 最終的に負債1兆円超見通し
欠陥エアバッグの問題で経営が悪化したタカタは26日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。日本時間同日、米国子会社のTKホールディングス(ミシガン州)も日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条の適用を申請。中国・寧波均勝電子傘下の米自動車部品大手、キー・セイフティー・システムズ(KSS)がスポンサーとなり、同社傘下で再建をめざす。

タカタ含む国内外のグループ15社が法的整理を届け出た。3月末のグループの負債総額は約3800億円。自動車メーカーが肩代わりしていたリコール費用を加えると最終的に1兆円超となる見込みで、製造業で戦後最大の倒産となる。
同日開いた記者会見で高田重久会長兼社長は「すべての関係者、債権者にご迷惑をおかけすることになり心より深くおわびしたい」と陳謝。2018年3月までに経営責任を取って辞任することを明らかにした。
上場企業の経営破綻は15年9月に民事再生法の適用を申請した海運中堅の第一中央汽船以来、1年9カ月ぶり。
タカタ製エアバッグは異常破裂により十数人の死者を出した。問題のエアバッグは世界で約1億個がリコールの対象になっている。
17年3月期の連結最終損益は795億円の赤字。最終赤字は3期連続だ。自動車メーカーからの受注減に加え、リコール関連費用がかさむ。財務の健全性を示す自己資本比率(3月末時点)は7%に落ち込んだ。
タカタは1月、多くの死者が出た米国の司法省と10億ドルの和解金を払うことで合意した。被害者や自動車メーカーへの補償に充てられるが、同社の支払い余力は乏しい。これとは別に自動車メーカーが肩代わりしているリコール関連費用も多く残るため、自力での再建は難しいと判断した。
同日、ホンダなど自動車各社はタカタに代わって立て替えているリコール費用の回収が困難になるとのコメントを出した。各社とも費用の大半を引き当てており業績への影響は限られる見込み。
スポンサー候補のKSSは新会社を立ち上げ、タカタから約1750億円でリコールの原因となった部品以外の事業を買い取る。事業譲渡の完了は18年1~3月を予定している。旧会社のタカタはこの資金から、自動車メーカーなどに債務を弁済する。新会社と自動車メーカーはこれまで通り取引を続ける。
米ミシガン州に本社を置くKSSはシートベルト関連部品などを手がける。04年設立の寧波均勝電子が16年に買収した。寧波均勝電子は上海証券取引所に上場し、16年12月期の売上高は約185億元(約3010億円)。KSS以外にも中堅自動車部品メーカーなどを買収している。
タカタは1933年に滋賀県彦根市で繊維メーカーとして創業し、80年代にエアバッグの生産を始めた。世界シェア約2割を占める大手で、シートベルトなども生産する。17年3月期の連結売上高は6625億円。欧米やアジアなど約20カ国に拠点を持ち、従業員数は約4万6000人いる。
債権者説明会は今月28日に都内、30日に部品メーカーが集積する滋賀県長浜市、7月3日に佐賀市で開く。
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