2018年4月26日(木)

綱渡りの東芝、メモリー売却急ぐも有報提出は先送り

2017/6/23 18:45
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 東芝は23日、2017年3月期の決算内容を記した有価証券報告書(有報)の提出期限の延長を関東財務局に申請し承認を受けたと発表した。新しい期限は8月10日。半導体メモリー事業の売却交渉で官民ファンドの産業革新機構などを優先交渉先に決めたばかりだが、その一方で有報提出は先送りせざるを得ないといった綱渡りの運営が続いている。

 綱川智社長は東芝本社(東京・港)で会見を開いた。冒頭、有報の提出期限の延長などについて説明し「株主など利害関係者に多大な心配をおかけすることをおわびします」と謝罪した。15年春の会計不祥事の発覚以降、有報と四半期報告書の期限を延期するのは今回で5回目だ。

 提出期限延長の主因は、3月下旬に法的整理に踏み切った米原子力事業会社のウエスチングハウス(WH)。WHは米連邦破産法11条の破綻手続きに入っているが、再生計画が固まるのは7月末がめどとなる。これに伴い決算や監査手続きの完了に時間がかかるほか、米国の原子力発電所建設プロジェクトの工事損失引当金について損失の認識時期が適切だったかどうかの確認も進めている。

 監査法人のPwCあらたとは見解の対立が続いているが、協議を継続し、新しい有報提出期限までに「適正意見」の獲得を目指す。

 半導体メモリーの売却について東芝は革新機構と日本政策投資銀行、米投資ファンドのベインキャピタルの連合を優先交渉先に選んだ。韓国半導体大手のSKハイニックスも同連合と連携する。協業先の米ウエスタンデジタル(WD)が売却に反対の姿勢で法的手段にも出ている中、手続きを前進させるためとはいえ、見切り発車の印象は否めない。

 綱川社長は6月28日までの基本合意は「可能だと考えている」と述べ、従来方針通りのスケジュールで手続きを進めることを強調した。基本合意時点でWDは連合の枠組みに加わらない見通しも示した。

 ただWDについて綱川社長は「これまでも良いパートナー。WDから話があれば協議をしても構わない。一緒に投資して(メモリー首位の)韓国サムスン電子と戦いたい」とも話した。

 入札には米半導体大手のブロードコムや台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業も応じたが「従業員雇用などの総合判断で決めた」と説明した。

 東芝は28日に定時株主総会を控える。経営危機の出口は見えないままで、株主から批判が出るのは必至だ。同日までにメモリー売却で合意することを半ば公約としたが、WDとの問題は残る。

 東京証券取引所は8月1日付で東芝の上場市場を東証1部から2部に変更することを通知した。今後、東証は東芝の有報提出を受けてから上場維持の可否を最終判断する。もし監査法人から適正意見が得られなければ、上場廃止の可能性が高まる。難題が山積みだ。(大本幸宏)

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