2018年6月25日(月)

KDDI、月面探査に挑む グーグル主催レースに参画

2016/3/23 20:43
保存
共有
印刷
その他

 KDDI(au)が米グーグル主催の月面ロボット探査レースに参画する。23日、日本から唯一出場している産学連携チーム「HAKUTO(ハクト)」とパートナー契約を結んだと発表した。資金面と併せ、月面探査ロボット(ローバー)の無線操作やデータ送信を技術面で支える。課題は月面を500メートル走行し、撮影した映像を地球に送ること。民間初の栄誉を勝ち取れるか。

重さ4キロの月面探査ロボット「ローバー」にKDDIの通信技術を積み込む(23日、都内)

重さ4キロの月面探査ロボット「ローバー」にKDDIの通信技術を積み込む(23日、都内)

 「当社には50年以上に及ぶ宇宙通信のDNAがある」。ハクトを運営するispace(アイスペース、東京・港)との共同記者会見でKDDIの田中孝司社長は自信ありげに語った。「au×HAKUTO」と銘打って、挑むレースは「Google Lunar XPRIZE」だ。

 民間による宇宙開発の加速を目的とするレースにはハクトを含む世界16チームが参加している。月に送り込むローバーを遠隔操作で500メートル以上動かし、動画や写真を撮影。データをローバーから月面着陸船に送り、さらに地球へ送信する。最初に成功したチームには賞金2千万ドル(約22億4千万円)が贈られる。

 打ち上げロケットをほかのチームと相乗りするハクトはローバーに特化し、開発を進めている。レースを完遂するにはローバーと地球を確実につなぐ通信技術が欠かせない。ハクトとKDDIの協業はノウハウをいち早く確立し、低コストでの宇宙探査方法の開発につなげるのが狙いだ。

 KDDIは2つの課題の解決を担う。一つはローバーから着陸船までの無線通信を途切れさせない仕組みづくり。月面は極端に乾燥し、鉄分やガラス質を含んだパウダー状の砂で覆われている。岩石や巨大クレーターなどの障害物もあり、無線通信には不向きな環境。研究所に月面の通信環境を再現し、ローバーの形状や素材を踏まえ、効率的に送受信できるアンテナを開発する。

 さらに「最大でも毎秒100キロビット」(KDDI研究所の中島康之所長)という低速通信回線で高精細な映像をどう届けるか。通信中に欠落したデータを受信側で正しく補完する技術も提供する。

 KDDIが主戦場とする国内の携帯電話市場は端末の品ぞろえや料金で大手3社が横並び。格安スマートフォンの台頭もあり、競争は厳しい。新たな顧客層の開拓やブランド力の向上を目指し、KDDIはあらゆるものがインターネットにつながる「IoT」や金融にIT(情報技術)を活用する「フィンテック」など様々なプロジェクトに取り組んでいる。

 優良なアプリやネットサービスの登場を後押しするベンチャー支援プログラム「∞Labo(ムゲンラボ)」もその一環だ。ハクトとの協業はKDDIの先進性を印象付ける挑戦となり、将来の宇宙産業の拡大を商機につなげる備えにもなる。(高槻芳)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報