慢性痛、患者の6割が「我慢」 3割は通院せず
ファイザー調査

2017/8/24 10:11
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日本人の5人に1人は慢性的な痛みを抱えるとされるが、がんや精神疾患と比べて実態調査が進んでいない。このほど米製薬大手ファイザーが実施した調査では、長く続く痛みを抱える人の6割強が「(痛みを)我慢すべきだ」と答え、3割が通院歴を持たなかった。「我慢は美徳」という価値観は根深いようだ。

インターネット上で慢性的な痛みを抱える人にアンケート調査を行い、8924人から回答を得た。「痛みがあっても我慢すべきだ」と答えた人は67%、「慢性的な痛みの完治を諦めている」との回答も69%だった。

長期の痛みで通院した経験を聞くと、33%が「通院した経験が無い」と答えた。通院しない理由では「通院するほどでないと思う」が37%と最多で、次いで「通院しても治らない気がする」が34%だった。

慶応義塾大学医学部で整形外科学を専門とする中村雅也教授は「特に運動器の痛みは甘く見られがちだが、慢性化すると対処できなくなる。まずは医療機関で診断して根本治療をしてほしい」と話す。

一方で、厚生労働省の疫学調査からは医療機関側の問題も浮き彫りになっている。2010年度からの調査では、痛みの程度に大差は無いにもかかわらず、最初に医療機関に行った人の満足度が整体・マッサージなど民間療法より低かった。痛みが持続した人では、医療機関の受診後に民間療法へ流れた人が3割いた。

背景には炎症や外因的な痛みでなく、糖尿病などの疾患による神経性の痛みや心理的な原因による痛みを十分に見分けられていない実態があるようだ。これらの痛みは診療前の簡易アンケートなどで患者群の絞り込みが可能だが、中村教授は「十分な検査をしきれていない医療機関も多い。治療する側の認識の甘さは否めない」と指摘する。

見極めが難しい神経性の痛みなども「診療前に10問程度の簡単なアンケートを取るだけでも、患者の絞り込みは十分にできる」(中村氏)。学会などでは画像診断や血液による高精度の診断法の確立や診療前アンケートの再考が進む。

米国では慢性的な痛みの治療の遅れにより、年60億ドル(約6500億円)の損失が生まれるとの調査もある。経済・社会的な影響も大きく、医療機関、患者の双方が痛みに対する認識を改める必要がありそうだ。

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