2018年8月19日(日)

格安スマホで専売店網 フリーテルの賭け

2016/11/21 22:58
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 格安スマートフォン(スマホ)ベンチャーが賭けに出る。「フリーテル」ブランドのプラスワン・マーケティング(東京・港)が21日、1年以内に専売店200店を開設すると発表した。格安スマホ市場は2年後に倍増する見通しだが、事業者の淘汰も進みそう。あえてコスト増につながる戦略を打ち出す背景には「安さ」だけでは生き残れないとの危機感がある。

プラスワン・マーケティングの増田社長は「特徴がない事業者は生き残れない」と語る(21日午前、東京都中央区)

プラスワン・マーケティングの増田社長は「特徴がない事業者は生き残れない」と語る(21日午前、東京都中央区)

 「家庭のそばに我々のショップがある環境を整える」。増田薫社長は記者会見で専売店の狙いを語り、「中長期的に1千店まで増やしたい」とぶち上げた。年内にも1号店を都内で出す。

 プラスワンは携帯大手から回線を借り、データ通信に限ると月299円(税別)からの格安サービスを提供。通販や家電量販店を販路とし、主な顧客は会社員や若者だ。

 最大の特徴は端末を自社開発していること。記者会見ではフル充電で3日間もつ電池を搭載した税別1万4800円の機種や、有機ELパネルを採用する約5万円の上位機種も披露した。SIMカードの「回線」を売るだけの競合企業と一線を画し、2016年度の販売台数は15年度比13倍の400万台超を見込む。

 勢いを増す中で、なぜ専売店を打ち出すのか。

 「格安スマホに興味があったけど、家電量販店で説明を聞いても料金体系や契約の仕方が分かりにくかった」。米アップルの「iPhone」を使う都内在住の会社員、草羽宏和さん(34)は携帯大手からの乗り換えを見送った理由を語った。

 プラスワンは専売店でこうした不満を解消できるとみる。携帯大手のように店頭できめ細かく接客すれば、手薄の主婦や高齢者に契約の裾野を広げられる。端末を自ら手がけるので、修理や操作支援で他社にない強みを発揮できる。増田社長は「様々な問い合わせに1社で責任を持って対応できる」と力を込める。

 イオンや楽天、「TSUTAYA」のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)など異業種も格安スマホに参入。本業との相乗効果を狙い、自社拠点に販売店を持つが、端末では差別化できず、修理などもメーカー任せになりがちだ。ここをプラスワンは突く。

 ただ専売店はコストがかかる。携帯販売代理店に運営を委託するが、1店あたり1千万~2千万円とされる出店費を一部負担する。販売奨励金も必要だ。200店を出店した場合の投資額は約20億円。16年3月期で売上高50億円弱のプラスワンにとって「巨額」だ。

 増田社長は「特徴がない事業者は生き残れない」と語る。格安スマホ会社は200社超と乱立ぎみで「淘汰が進む」との指摘は多い。最初は赤字覚悟で契約を増やす必要があると判断したのだろう。来店客の要望や苦情を製品やサービスの開発に役立てる狙いもある。

 このほど42億円の第三者割当増資を実施し、財務基盤をテコ入れした。ただ投資に見合う売上高を確保しなければ、新たなビジネスモデルはいずれ行き詰まる。低料金を維持する経営のかじ取りは難しさを増している。

(大和田尚孝、薬文江)

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