2017年12月16日(土)

グーグル、「垂直統合」再挑戦 HTCのスマホ一部買収

2017/9/21 23:10
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 米グーグルは21日、台湾の宏達国際電子(HTC)のスマートフォン(スマホ)事業の一部を11億ドル(約1230億円)で買収すると発表した。ソフトとハードを一体開発する「垂直統合」にグーグルが挑戦するのは2回目。製品力を高めて米アップルに対抗するとともに、対話型人工知能(AI)を搭載したスピーカーなど新分野の端末開発力の底上げを急ぐ。

 「ハードウエア事業を発展させるための重要なステップ」。新北市のHTC本社で開いた共同記者会見で、グーグルのリック・オスターロー上級副社長は今回の買収をこう表現した。合意によると、HTCのスマホ部門に在籍する技術者約4000人のうち半数がグーグルに移籍。グーグルはHTCが持つスマホを中心とした特許のライセンス提供も受ける。

 HTCはグーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマホを2008年に世界で初めて製品化。グーグルが昨年、自社ブランドで発売した初のスマホ「ピクセル」の生産を請け負うなど密接な関係にあった。今回グーグルに移籍するのもピクセルの開発に関わったチームだ。

 HTCはアンドロイド陣営の有力メーカーとして11年に9%近い世界シェアを占めたが、韓国や中国勢に押され16年には0.9%に低下。最近は身売り観測まで出ていた。グーグルへの事業売却は、HTCにとってもコスト削減や成長分野への投資資金確保などのメリットがある。

 グーグルはスマホOSの世界市場で85%と圧倒的なシェアを握るものの、ハードは鬼門だった。12年には米モトローラ・モビリティーを125億ドルで買収。アップルが強みとする垂直統合モデルへの転換を目指したが、アンドロイド採用メーカーとの摩擦が表面化。特許資産と先端研究部門を手元に残し、14年に約30億ドルで中国レノボ・グループに売却した。

 だが端末を巡る環境は大きく変わりつつある。AIや仮想現実(VR)など最新技術を盛り込んだ端末は、従来より多くのセンサーやカメラを搭載し、ソフトとハードの一体開発の重要性が増している。グーグルは昨春にハード事業を統括する新部門を設立。モトローラで社長を務めたオスターロー氏をトップに迎え、開発体制の見直しと強化に取り組んできた。その視線の先にあるのはスマホの次の端末だ。

 昨年10月に発表した対話型スピーカー「グーグルホーム」は「メード・バイ・グーグル」と銘打った新ハード戦略の目玉の一つ。来月4日には約1年ぶりにハードの発表会を開き、ピクセルやグーグルホームの新製品を披露する見通しだ。

 グーグルが「垂直統合」を急ぐ理由はもう一つある。スマホ利用者がグーグルの検索などのサービスを使うと、グーグルは端末メーカーなどに対価を支払わなければならない。「トラフィック獲得コスト」と呼ぶこの費用負担は年々増加。16年には売上高の約9%に相当する59億ドルを支払った。自社端末ならもちろん支払う必要はなく、ドル箱のネット広告事業の収益性改善につながる。(ロサンゼルス=小川義也、台北=伊原健作)

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