2018年6月20日(水)

訪日客、手ぶら観光へどうぞ 荷物預けは1分半
JTB・パナ・ヤマトがタッグ

2017/9/21 16:06
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 大きなスーツケースを引きずって電車や観光地を往来する訪日外国人の姿が減るかもしれない。JTBとパナソニックヤマトホールディングス(HD)は21日、訪日客が手ぶらで観光できるよう大型荷物を預かり宿などに配送するサービスを2018年1月に共同で始めると発表した。スマートフォン(スマホ)で簡単に申し込めて手続きの手間を省ける。訪日客の心を捉えられるか。

■4国際空港で預け、受け取り拠点は1万軒

 「観光分野の新たなプラットフォーム(基盤)を確立する」。同日、東京都内で記者会見したJTBの古野浩樹執行役員は力を込めた。

記者会見で手を握り合うJTBの古野浩樹執行役員(左)ら(21日、東京都内)

記者会見で手を握り合うJTBの古野浩樹執行役員(左)ら(21日、東京都内)

 新サービス「ラゲージ・フリー・トラベル」では国内の空港から宿泊施設、宿泊施設間などで荷物を送れる。JTBのツアー参加者のほか、個人旅行者でも旅の前や最中にスマホやパソコンで申し込める。

 利用者が配送先や荷物の寸法・個数、氏名などを多言語サイトから入力すると、QRコードが発行される。これを空港や宿泊施設の窓口で見せれば1分半ほどで荷物を預ける手続きが終わる仕組みだ。従来の荷物配送サービスでは10分以上かかっていた送り状を手書きする手間が省ける。

 配送状況は電子メールで通知。配送先の宿泊施設や空港でQRコードを見せると荷物を受け取れる。配送はヤマトHD傘下のヤマト運輸が担う。

 荷物を預けられる場所は当面は成田、羽田、中部、関西の4国際空港と、東京、大阪、京都を中心とするホテルなど約100施設。配送先に指定できる受け取り拠点は全国1万軒の宿泊施設と4空港だ。成田か羽田に到着した場合、午前11時までに預けると関東周辺なら最短で午後6時に届く。

 基本料金は荷物の3辺の長さの合計が120センチメートル(重さ15キログラム)以内なら片道で税別2000円から、160センチメートル(25キログラム)以内だと同2500円からとした。地域により追加料金がかかる。

 これまでヤマトは独自に訪日客向けの配送を手がけてきたが、手間がかかることや認知度の低さからあまり使われていなかった。今回はヤマトの既存サービスより数百円ほど割高だが、観光施設の割引入場など特典を用意してお得感を出す。

 パナソニックのクラウドサービスを介し、JTBが持つ宿泊施設や旅行者の情報、ヤマトの配送情報などを連携させ、統合管理する。QRコードの読み込みなどに使うパナソニック製機器は無料で宿泊施設に貸し出す。

 新サービスの手軽さを知ってもらうため、JTBが海外店舗網や取引先、航空会社などと連携して周知、自社ツアーの参加者にもPRする。宿泊施設のテレビ画面や印刷物でも知らせる。

■観光地の混雑緩和、消費拡大の期待も

 手ぶら観光が根付けば観光立国を後押ししそうだ。大都市の電車や観光地はスーツケースを持った訪日客でごった返し、通行に支障を来すこともある。一時預かり荷物が増えて置き場がパンクする観光・宿泊施設が増え、コインロッカーも不足する。荷物が効率よく送れれば混雑が和らぐ。

外国人女性が旅行客にふんして荷物を預けるシーンなどを演じた(21日、東京都内)

外国人女性が旅行客にふんして荷物を預けるシーンなどを演じた(21日、東京都内)

 観光消費の拡大も期待できる。16年の訪日客の1人あたり支出は中国人などの「爆買い」が一服し、15年より減った。だが荷物を送ったり、持ち歩いたりする手間が減れば身軽になって回遊性が高まり、滞在時間も長くなりそうだ。会見内のデモンストレーションでは旅行客にふんした外国人女性が、観光に充てる自由時間が増えて喜ぶシーンを演じた。

 スキー用品やゴルフバッグの運搬、土産物を帰国日に空港に届けるサービスなども順次始め、政府が訪日客4000万人をめざす20年には荷物を預けられる拠点を2500カ所に拡大。年100万人の利用を見込む。

 問題はサービスがどこまで受け入れられるかだ。最低料金は2000~2500円だが、3社が16年秋に実施した実証実験のアンケートでは「2500円程度なら利用したい」との回答は56%にとどまった。

 ゆくゆくは自転車シェアリングなど様々なサービスの予約も追加し付加価値を高め、観光立国を支えるプラットフォームをめざすという。旅行、電機、運輸の各業界で日本を代表する企業のタッグ。パナソニックの井戸正弘執行役員は「デファクトスタンダード(事実上の標準)にするのが私たちのもくろみだ」と語った。訪日客にしっかりその価値が伝われば夢ではない。

(大林広樹)

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