オプジーボ訴訟和解 ライバル薬登場、研究拡大で対抗
がん免疫薬「オプジーボ」の特許を巡る訴訟が小野薬品工業と米製薬大手ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)の実質的な勝利という形で幕を下ろした。小野薬は21日、オプジーボの特許侵害訴訟について、米メルク社と和解したと発表した。
メルクは小野薬・BMSの特許権を認めライセンス契約を締結。頭金として6億2500万ドル(約710億円)を支払うほか、今後はメルクが販売するがん免疫薬の売り上げに応じてロイヤルティーも支払う。
頭金と今後発生するロイヤルティーの配分は小野薬が25%、BMSが75%。小野薬は2017年3月期だけで180億円近い特別利益の発生が見込まれる。
今回訴訟の対象となったのは、オプジーボががんに効く仕組みである「抗PD-1抗体」の特許の権利関係だ。メルクは11年にオプジーボに関する特許について欧州で異議を申し立て、同じ抗PD-1抗体「キイトルーダ」の開発を開始。一方、小野薬も14年にメルクを相手取り特許侵害などの裁判を起こした。
今回和解した背景には「抗PD-L1抗体」という仕組みを使った新たなライバル薬の登場がある。スイスのロシュグループが実用化に成功した「テセントリック」のほか、英アストラゼネカなども開発に取り組む。
いずれも米メルクや小野薬・BMS連合の脅威となる可能性が高い。早期に和解することで抗PD-1抗体の研究を拡大し、互いに成長したいという思惑もありそうだ。
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