2019年5月25日(土)

マネーフォワード、企業間決済サービスに参入

2017/6/20 17:01
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金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックの有力ベンチャー、マネーフォワード(東京・港)は20日、企業に代わって売上債権を回収する新サービスを始めたと発表した。ITを活用して与信審査や請求業務を効率化し、貸し倒れリスクを軽減する。中小企業にとって大きな経営課題となっている資金繰りを改善する狙いだ。

マネーフォワードの辻庸介社長(右)とMF KESSAIの冨山直道代表

マネーフォワードの辻庸介社長(右)とMF KESSAIの冨山直道代表

このほど全額出資の子会社「MF KESSAI」を設立した。同社が参入したのは一般に「ファクタリング」と呼ばれる、売上債権の回収代行業務。マネーフォワードはこれまで家計簿アプリやクラウド会計ソフトを通じて個人や会社のお金の管理を効率化してきたが、今回はお金の流れ自体の変革をめざす。辻庸介社長は「経営に関するお金の不安を解消する」と狙いを説明する。

MF KESSAIを利用する企業がすべきことは請求内容の取引データを入力するだけ。取引先企業の支払い能力を調査する与信審査を自動で行い、5分から半日で結果を伝える。請求書の発行・送付、入金の有無の管理、未入金の取引先に入金を督促する作業などはすべて同社が代行。請求業務にかかる時間を約90%減らせる。さらに今後、利用企業の会計ソフトとシステム連携することで請求内容の入力も不要になるという。

ファクタリングはキャッシュフローを改善させる効果があるが、債権譲渡などの手続きが煩雑で、これまで中小企業には普及していなかった。中小企業はノウハウを持つ人材が乏しく、回収に時間がかかったり、貸し倒れたりするケースも珍しくない。加えて最近ではネット通販などの「顔の見えない取引」が拡大、売り上げが増えていても、資金回収への不安から事業拡大をちゅうちょする中小企業は少なくなかった。

新サービスでは「審査が通過すれば債権がMF社に譲渡され、100%入金が保証される」(MF KESSAIの冨山直道代表)。当面は30日後の入金を基本とするが、今秋には請求先の審査通過時に即日入金するサービスも開始する予定だ。

同社によれば、企業間決済の市場規模は約100億円。現在は運送会社やシステム開発会社が類似のサービスを手掛けている。

マネーフォワードは後発だが、他社にない強みはある。1つはクラウド会計ソフトで築いた約50万社の顧客基盤。もう1つがサービスを通じて蓄積した膨大な取引のビッグデータだ。与信管理に加えて、例えば督促の電話をかける際にもデータを解析することで「取引先が電話に出やすい時間帯を狙ってかける」(冨山代表)。新会社では少ない人手で業務を運営、債権額に対する手数料率を1.5%からと、3%程度とされる他社の水準よりも抑える。

マネーフォワードは5年で企業間決済サービスの業界シェア首位を狙う。将来は貸金業を取得し、運転資金の供給なども視野に入れているもようだ。

(鈴木健二朗)

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