日建連会長「建設業界、当面人手不足ない」 - 日本経済新聞
/

日建連会長「建設業界、当面人手不足ない」

日本建設業連合会(日建連)の中村満義会長(鹿島会長)は20日の定例会見で「建設業界は当面、人手不足はない」として、施工能力に不安は起きないとの見解を示した。保育や介護などと並んで人手不足を指摘されることが多い建設業界だが、当面は処遇改善を進めれば技能労働者は確保できるとの見方を強調した。

日建連はこのほど、「『技能労働者不足』に対する考え方」という調査をまとめた。報告書では1996年度と2015年度の建設産業を比較。過去20年で実質的な建設投資、建築着工面積、新設住宅着工戸数が40%以上減少したのに対し、建設業許可業者の減少率は17%、技能労働者の減少率は25%にとどまっている。技能労働者1人あたりの建設投資額は約2割減となっており、山内隆司副会長(大成建設会長)は「今の人手でも余力がある。人手不足は虚像だ」とした。

技能労働者数もここ数年は330万人台で横ばいだ。背景にあるのが賃金改善。建設業に従事する生産労働者の賃金は13年から15年まで3年連続で上昇し、15年の賃金は90年代後半と同等の水準になっている。8月の有効求人倍率では「建設の職業」が3.4倍と、15年度(2.95倍)よりも高いが、「製造業の賃金と比べてもまだ低い水準」(山内副会長)のため、処遇改善が進めば人手の確保もまだ可能と見る。

日建連がこのタイミングで人手不足を打ち消すような報告書を出したのは、17年度の予算編成に向けて公共工事の積み増しを狙いたいとの思惑がある。

ただ、技能労働者の高齢化は問題で、中長期的には人手不足に陥る可能性があるとしている。高齢化により今後10年で急速に大量離職が発生するとみられる。生産性の向上などを急がない限り、供給力への不安は現実のものとなりかねない。

定例会見では、注目が集まっている2020年の東京五輪の施設建設見直し議論についてもコメントした。中村会長は「もともとかなりタイトな工期だったと聞いている。建設業界の立場としては早急に方針を決めて頂いて、突貫工事を強いられるようなことがないようにお願いしたい」と述べた。

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

関連企業・業界

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません