トヨタ系金融など、フィンランド移動VBに出資

2017/6/20 11:04
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フィンランドに拠点を置くモビリティー(ヒトの移動)関連ベンチャーのマース・グローバルは19日、トヨタ自動車の金融子会社など2社の出資を受け入れたと発表した。マースはタクシー、レンタカーから公共交通機関まで網羅し、スマートフォン(スマホ)で予約・決済できるサービスを展開する。トヨタグループは昨年出資したライドシェア(相乗り)大手の米ウーバーテクノロジーズに次いで、新ビジネスで布石を打つ。

「ウィム」のアプリを使い、スマホで複数の移動手段をまとめて予約できる

マース・グローバルが実施した総額1000万ドル(約11億円)の増資のうち、大部分をトヨタファイナンシャルサービス(TFS)と、トヨタとの関係が深いあいおいニッセイ同和損害保険の2社が引き受けた。

マース・グローバルは専用のスマホアプリ「ウィム」を通じ、あらゆる移動手段をパッケージにしたサービスを提供。利用者が目的地を指定すると、タクシーやレンタカー、電車・バスなどを組み合わせた複数のルートが提示される。ルートを選ぶと、毎月の支払いで得たポイントの範囲内でタクシーや電車・バスなどを乗り継いで使える。自家用車を持たなくても効率的に都市内を移動できるのが特長。現在はフィンランドの首都ヘルシンキで試験事業を展開する。

TFSはマース・グローバルのノウハウを得て、分析したデータをトヨタ車の顧客に還元したり、結びつきを強めたりする手段に使う。あいおいニッセイ同和損保はマースに社員を派遣し、新たな移動手段から派生する保険商品の研究開発にも生かす。トヨタグループは昨年、ウーバーに少額出資した。新車販売以外のヒトの移動にまで幅広くかかわり、グループの収益機会を広げる。

マース・グローバルにはトルコの自動車メーカー、カルサンが株主に名を連ねる。自動車大手系からの出資は今回が2例目。サンポ・ヒータネン最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に対し、英国とオランダでも事業を始めると述べた。また「現在アジアの複数エリアで(事業化の)議論をしており、シンガポールとソウル、それに日本の複数都市が候補になる」という。TFSなど2社との提携で日本事業にも弾みをつける考えだ。

世界の自動車大手では金融子会社を通じたモビリティー分野の参入が相次ぐ。独ダイムラーは金融子会社を通じ、乗り捨て型のカーシェアリング「カー2ゴー」を欧米と中国で展開し、別ブランドで交通情報のポータルサイトも運営する。モビリティーサービスはIT(情報技術)を使い、自社の資産を顧客に使ってもらい収益を上げるモデルのため、リースを中心に手がけてきた金融事業との親和性が高い。

マース(MaaS)は「モビリティー・アズ・ア・サービス」の略。ソフトウエアを使う感覚で、複数の移動手段を組み合わせるサービスのことを指し、欧米では自動車大手や新興企業が間で1つのキーワードになっている。

(加藤貴行)

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