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農業のIT化へ取り組み加速 クボタは自動運転トラクター

農業のIT(情報技術)化へ向けた企業の取り組みが広がっている。クボタは19日、無人で耕作などの作業ができる自動運転トラクターを公表。ヤンマーは近く、ドローン(小型無人機)を使って土壌の測定を始める。高齢化が進み、後継者が不足して生産が思うようにできないといった国内農業の問題点をITで克服する。まずは国内で販売し、今後はアジアでの展開も目指す。

クボタのトラクターは、全地球測位システム(GPS)などで車体の位置を計測。あらかじめ登録しておいた農地の形状や広さのデータをもとに、ハンドルや耕作装置などを自動で制御する。無人で農地を耕し、肥料・農薬の散布までできるようになる。

凹凸が激しかったり水浸しだったりすると、ハンドルを取られやすく運転が難しいが、こうした水田でも安定走行できる。2018年にも発売する計画だ。

木股昌俊社長は「農作業に慣れない人も使いこなせる農機への要望が非常に強い」とみる。10年後までに全国15カ所に自社農場を整備し、IT農業の実験場に活用することも19日に発表した。田植えなどを自動でできる技術開発も進める。

井関農機やヤンマーも、クボタと同様の自動運転トラクターを開発している。

欧米の大手は小麦畑などで使う自動運転農機を開発しているが、日本の各社は水田での自動運転技術をいち早く確立。まずは国内で販売する。稲作が多いアジアも、将来は高齢化などで日本同様の課題を抱える可能性があり、需要が増えると期待している。

人手がかかる土壌調査もITで効率化する。ヤンマーは土に含まれる水分や酸性度を離れた場所から測るセンサーをドローンに装着。土壌を診断し、肥料を選んだり土壌改良に活用したりする。

異業種企業が独自の強みを生かして参入する動きもある。IHIは人工衛星で作物の生育を監視し、情報を農家に提供する技術を開発している。人工衛星が撮影した画像で作物の状態を把握。センサーで集めた土壌の状態などのデータを組み合わせ、解析する。

トヨタ自動車はコメの生産法人向けのクラウドサービス「豊作計画」を開発した。生産法人と、農場にいる作業員の間で、作物の生育や作業状況のデータを随時やりとりする仕組み。田植えや収穫などの作業計画を自動で割り出す。

農林水産省の調べでは国内農家の平均年齢は66.8歳(14年)で、65歳以上が6割強を占める。多くの農家で高齢化が進んでいるが、作業員を雇うにも、人手不足で思うように集められない。

一方、環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意によって輸入農産物が増える見込みで、競争は激化する。IT農業が普及すれば、日本の農産品の競争力強化につながる可能性がある。

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