富士フイルム、開発中の認知症薬が治験の最終段階に 18年度にも
富士フイルムは臨床試験(治験)を実施中のアルツハイマー病の治療薬について、重症になる前の患者に対して症状の進行を抑える効果を確認したと19日に発表した。2018年度にも最終段階の治験に入る。アルツハイマー病分野は製薬各社が新薬開発に挑んでいるが、開発の失敗が相次いでいる。今後の富士フイルムの治験動向が注目を集めそうだ。
同社は米国で実施した「T-817MA」の第2相(フェーズ2)の治験の結果を公表した。認知症と診断されて約2年半以内の患者に薬を約1年間投与したところ、認知機能の低下の進行を和らげる効果を確認した。また、記憶をつかさどる「海馬」の萎縮を抑える傾向もみられた。比較的進行の早い患者に対して効果があるとみている。
18年度にも多くの患者を対象に有効性などを確認する「第3相(フェーズ3)」の治験に入る。日本を含めた国際共同治験を実施する予定だ。製薬大手との協業も視野に入れる。
国内の認知症患者は、25年に約700万人と、12年比で1.5倍になる見通し。現在の治療薬は症状を一時的に和らげる効果しかなく、病気そのものの進行を抑えられない。