GMがインド撤退 収益性重視、米中に集中

【ムンバイ=早川麗】米ゼネラル・モーターズ(GM)は18日、インドでの自動車販売から年内に撤退すると発表した。現地で生産した自動車は輸出用に切り替える。同社は欧州子会社の売却を決めたほか、南アフリカでは商用車事業などをいすゞ自動車に譲渡する。新興国市場で競争が激しくなるなか、収益性を重視し米国と中国に経営資源を集中させる。
インドでは「シボレー」ブランドで乗用車を販売してきた。GMのシェアは2016年度で1%に満たず、10位以下に低迷する。中間所得層が拡大するインド市場は、新興国の中でも成長が期待されている。16年度に乗用車の販売が15年度比9%増と市場が拡大するなか、GMの販売は同21%も減った。GMインターナショナルのステファン・ジャコビィ社長は声明で「投資に見合う利益が期待できない」と撤退の理由を語った。

GMは印西部マハラシュトラ州とグジャラート州に工場を持つ。グジャラートの工場は4月末に生産を停止しており、売却先を探している。マハラシュトラ州の工場は輸出向けに生産を続ける。
南アではいすゞとの合弁会社を解消する。合弁会社はいすゞの商用車の組み立てと販売を手がけており、GMは保有する合弁の30%の株式をいすゞに売却。その上でGMのピックアップトラックの事業をいすゞ子会社に移管する。
GMのメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は今回の海外事業再編について、「収益性向上と長期的な成長機会への投資に向け、GMは世界において適切な市場にいる」と声明で述べた。GMは今回の再編によって年1億ドル(約110億円)のコスト削減を見込む。構造改革費用として17年4~6月期に5億ドルを計上する予定という。
GMの16年の世界販売台数は約1000万台。うち7割を米国と中国が占める。3月には欧州子会社の独オペルをフランスの自動車大手グループPSA(旧プジョーシトロエングループ)に売却すると発表した。
自動車産業では、GMやトヨタ自動車、独フォルクスワーゲン(VW)など「1000万台クラブ」間の競争が激化しているうえ、自動運転車や電動車両などの開発で投資負担も重くなっている。収益性を重視し、競争力がある市場を選別する動きも出始めている。