日立、売上高営業利益率8%超に 19年3月期目標
日立製作所は18日、2019年3月期の売上高営業利益率の目標を8%超に設定したと発表した。東原敏昭社長は記者会見で「構造改革を進める」と強調し、売上高営業利益率5%未満の事業は撤退する方針だ。買収などに1兆円を投じる計画も表明し、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」を軸に事業の入れ替えによる新陳代謝を進め、欧米大手に対抗する。
16年3月期の売上高営業利益率は6.3%で、当初目標の7%超に達しなかった。新しい中期経営計画について、東原社長は「米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスはハード中心。日立はインフラの制御技術と高度なIT(情報技術)を持ち、双方を組み合わせることで利益率を高めて対抗していきたい」と説明した。
売上高目標は16年3月期と同水準の10兆円。物流や金融の上場子会社を連結から外すことで売上高が1兆円減るため、東原社長は「買収で5千億円、既存事業の成長で5千億円伸ばす」と指摘した。
成長投資1兆円のうち、6割は顧客やIT基盤技術の獲得に振り向け、4割は製品や素材の事業強化に使う。
売上高に占める海外比率を16年3月期の48%から55%まで引き上げる。地域別では、鉄道が好調な欧州が年2ケタ増でけん引役となる。北米や東南アジア・インドも年5%以上の成長を期待する。中国は年3%の成長にとどめ、利益率を改善する。
日立の売上高は2000年代から10兆円前後で推移しながら、事業内容を入れ替えてきた。半導体や液晶パネル、ハードディスク駆動装置(HDD)が中心だった時代を経て、09年3月期の国内製造業最大となる7873億円の最終赤字をきっかけに事業売却を柱に再生した。
世界で存在感が乏しくなる国内電機でも勝ち組とされる日立。最近は「構造改革が停滞している」(証券アナリスト)との声も出ていたが、日立はグループ再編を再始動した。IoT時代にあわせた事業の入れ替えを加速できるのか。日立の試みは国内電機の行方も占いそうだ。
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