富士フイルム、米英でバイオ薬増強 受託工場に140億円投資
富士フイルムは18日、バイオ医薬品の受託製造事業で米国と英国に持つ生産・開発拠点を増強すると発表した。投資額は約140億円。米国では培養タンクの容量を従来比7割増の1万4000リットルにする。英国では生産手法を開発する施設を増設する。バイオ薬は安定生産が難しいことから製造を委託する動きが広がっている。
米孫会社のフジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ・テキサス(テキサス州)が100億円で生産棟を新設し、30億円で容量2000リットルのタンクを3基導入する。2018年初めに稼働する。英子会社フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズUK(ビリンガム)は10億円で開発拠点を増強し、17年夏に稼働する。
富士フイルムは16年、米製薬大手メルクがアイルランドに持つ容量2万リットルのバイオ薬生産設備を18年から借り受ける契約を結んだ。18年時点で富士フイルムが持つタンク容量は現在の2倍にあたる約5万リットルになる。生産能力の増強をテコに、バイオ薬受託製造事業の売上高を15年度の300億円程度から23年度に1000億円に引き上げる。
バイオ薬は従来の薬より高い効果が見込め、副作用が少ないことから需要が伸びている。
英調査会社エバリュエートファーマによると世界のバイオ薬の市場規模は15年に1840億ドル(約20兆円)で、20年に2900億ドルに成長する。