2019年1月23日(水)

苦境の「親」救えるか 国産有機EL、JOLEDが始動

2017/5/17 17:26
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パナソニックソニーの有機EL事業を統合したJOLED(ジェイオーレッド)が17日、都内で技術展示会を開き、低コストの「印刷方式」で生産した有機ELパネルを初披露した。設立から2年の沈黙を破り、初めて技術力を公に示した格好だ。同社は2017年末までに液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)の子会社になる予定。JOLEDは独自技術で収益化を達成し、苦境が目立つ親会社を支えられるのだろうか。

JOLEDの事業戦略を発表する東入来社長(17日午後、東京・港)

JOLEDの事業戦略を発表する東入来社長(17日午後、東京・港)

「印刷方式の有機ELパネルがいよいよ事業化に向けたフェーズに入る」。記者会見に登壇したJOLEDの東入来信博社長は強調した。同氏は6月にJDI社長を兼務する予定で、液晶のJDIと有機ELのJOLEDの2社の経営トップを務めることになる。東入来社長は「中型以上のパネルについては印刷方式が有機ELの標準になっていく」と話し、スマートフォン向けはJDI、タブレットやノートパソコン、テレビ向けはJOLEDと両社ですみ分けていく考えを示した。

同日、顧客向けにサンプル出荷を開始したことも発表。源流企業でもあるソニーの医療用ディスプレーへの採用が内定したという。技術展ではテレビから医療用モニター、ゲーム用モニター、タブレット端末まで幅広い用途の色鮮やかな高精細ディスプレー16台を展示。デザインの自由度が高い有機ELの特長を生かして湾曲した中型ディスプレーも展示した。

JOLEDは15年1月に官民ファンドの産業革新機構が主導してパナソニックとソニーの有機EL事業を統合して設立。有機ELパネルを製造コストが2~3割程度抑えられる独自の「印刷方式」で量産するために研究開発を続けてきた。東入来社長は「自社で装置、材料の開発も手掛ける特別な立ち位置にいる」と自信を見せた。今秋にはJDIの工場内で少量生産を始める。

16年末にJDIは革新機構からの資金支援を得てJOLEDを子会社化することを決議した。今後は東入来社長のもとで液晶パネルと有機ELパネルを扱うディスプレーメーカーとして再起をかける。ただ足元のJDIの業績悪化は深刻で、16年に同社を悩ませてきた資金繰り問題が再燃しかねない状況だ。

一方のJOLEDは研究開発会社のため製品出荷はしておらず、現時点で売上高はゼロ。開発コストがそのまま赤字となる状況だ。3期連続の最終赤字となったJDIは18年3月期も「苦しい状況が続く」(同社)としており、研究開発会社が新たに連結対象になることでJDIのコスト負担は一層重くなる。JOLEDにとって収益を稼ぎ出す「孝行息子」への道は、世界初となる印刷方式で有機ELパネルを安定生産していく技術確立が第一歩となる。

(細川幸太郎)

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