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JR九州上場へ 「成長性」で快走なるか

時価総額4000億円超、LINEの半分

25日に新規上場する九州旅客鉄道(JR九州)の株式の売り出し価格(公開価格)が仮条件の上限にあたる1株2600円に決まった。株式数と公開価格から試算した時価総額は4160億円。2016年の新規株式公開(IPO)銘柄の中では2番目の大きさだが、今年首位で7月に上場したLINEと比べると半分強になる見通しだ。

個人投資家が注目

「あとは抽選結果を待つのみ」、「一度当たったら売らない人が多そうだね」――。17日に東京証券取引所がJR九州の公開価格を発表すると、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などではIPOの抽選に応募した個人投資家らによる書き込みが相次いだ。「民営化案件のIPOは失敗が少ない」との経験則もあり、JR九州も小粒ながら、ひとまずは注目を集めているようだ。

実際、過去のIPOを振り返ると、民営化案件が出だしでつまずいた例はほぼない。通信やインフラといった公共性の高い事業を手掛け、「少しのことではつぶれない」、「配当が安定していそう」といったイメージが強く、個人の人気を集めやすいためだ。

記憶に新しいのが昨年新規上場した郵政3社だ。日本郵政ゆうちょ銀行かんぽ生命保険は上場初日にそろって公開価格を2~3割上回る初値を付けた。少し古い例だが、1993年上場の東日本旅客鉄道(JR東日本)の場合、初値は公開価格の1.6倍に達した。過去の旧政府系企業で上場時の初値が公開価格を下回ったのは日本たばこ産業(JT)1社しかない。

ただ、民営化案件は出だしに失敗が少ないとはいえ、IPO株の醍醐味のひとつといえる「成長性」をみると、必ずしも順風満帆とはいえない。昨年の郵政3社の場合、上場直後の船出は順調だったが、年明けには日銀によるマイナス金利政策の導入という大逆風が吹き、株価も失速。足元の株価は上場時の初値からそれぞれ2~3割安に沈んだままだ。

課題は「上場後」

一方、IPO銘柄の中には、民営化案件に比べて収益の安定性が低くても、成長性への期待から人気が息長く続くものもある。7月に上場したLINEもその一例だ。上場時の公開価格をベースに当時の時価総額を計算すると、約7000億円で、JR九州の1.7倍にあたる。

LINEは上場直後は荒っぽい値動きが目立ち、初値比で2割強下落する場面があった。ただ、格安スマートフォン(スマホ)への参入や今期黒字化の計画などで成長期待をつなぎ、株価はじりじりと反転。9月下旬には上場初日に付けた高値を更新している。

JR九州の場合、上場後しばらくは配当や事業の安定性を手掛かりにした買いを集めそう。同社は配当性向30%を目指すとしており、公開価格から試算した年間ベースの配当利回りは2.9%となる見通し。2017年3月期には鉄道部門の黒字転換を見込む。

問題は、上場直後の注目が薄れた後も、息の長い上昇基調を描けるか。九州新幹線や豪華寝台列車「ななつ星in九州」の需要の掘り起こしや、不動産事業の収益化などでどこまで、他の鉄道大手とは違う独自色を出していけるかがカギとなりそうだ。

(富田美緒)

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