2019年5月23日(木)

未来面「世界を変えよう。 」

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 日本経済新聞社は、読者や企業の皆さんと一緒に日本の課題について考え、議論する「未来面」をスタートしました。今期のテーマは「世界を変えよう。」 革新的なアイデアをお寄せください。企業のトップが選んだ優れたアイデアは新聞紙面や日経電子版で紹介します。アイデアの投稿はこちらから。
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3D技術で世界をどう変えますか
岡隆史・日本HP社長 経営者編第2回(5月9日)

2017/5/9 2:00
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皆さんは「3D」と聞いて何を思い浮かべますか。英語で「3次元」を表す言葉ですが、ゲームなどで立体的な空間を再現する「VR(仮想現実)」にも3Dの技術が使われています。

しかし、産業界で最も注目されているのは「3Dプリンター」と呼ばれる造形装置です。プラスチック樹脂などを重ねていくことで立体を作る装置も、新しい印刷機というわけです。

3Dプリンターはどんなところに使われているでしょうか。人間の姿をかたどった「フィギュア」や装飾家が作るアクセサリーなどはよく知られた例です。個人でも思い思いの造形物を簡単に作れるようになりました。

一方、大企業にも製造工程に3Dプリンターを活用しようという動きが出ています。多品種少量生産に役立つだけでなく、補修部品などもデータで保存しておけば、サプライチェーンの大きな変革につながるからです。

3Dプリンターの開発は米国のベンチャー企業が主導してきましたが、我々も3D技術が世界を大きく変えると考え、参入することにしました。サーマルインクジェット技術によるプリンターを世界で初めて商業化したのはHPです。プリンター業界をリードする我々が作るからには、実用的な製品にしようと考えました。そこで造形速度を従来の10倍に高め、コストが約半分で済む製品を開発し、日本にも投入しようと準備を進めています。

ただ新しい技術だけにどんな利用法があるのか、既存のビジネスをどう変革できるのか、未知数のところがあります。そこで海外では自動車や機械、スポーツ用品など様々な業界の大手メーカーとオープンな協業関係を築き、新たな利用法を一緒に発掘していこうとしています。ドイツではこうしたネットや3D技術を活用して産業のデジタル化を促そうという「インダストリー4.0」が進んでいます。

日本の製造業はアナログ時代の「匠の技」で成功を収めましたが、デジタル化戦略では遅れているのが実情です。韓国や中国などとの競争に打ち勝っていくためには、コモディティー化による価格競争に陥らず、日本にしかできない感性の世界を3Dの技術を使って表現していくことが重要だと考えています。

そこで皆さんへの質問ですが、3Dのプリンターやスキャナー、VRなどの技術を活用すれば、世界をどう変えられるでしょうか。製造業に限らず、医療や農業、教育などで3D技術は広がっていくと思います。皆さんが考える画期的な利用法や様々な事業への活用について、アイデアをお聞きできればと思います。

岡隆史・日本HP社長の課題に対するアイデアを募集します。投稿はこちらから

編集委員から 特殊な眼鏡で映像を立体的に見せる3D技術は19世紀末に登場しましたが、広く普及したのはコンピューターグラフィックス(CG)の登場がきっかけです。映画やゲームなどに利用され、ハリウッドでは3Dアニメのピクサーが大成功を収めました。1980年代には3D技術をもの作りに使おうという新興企業が現れ、そこで生まれたのが3Dプリンターです。

米国では新しい立体印刷装置でオリジナルの作品を作ろうという「メイカーズ」ブームが起き、3Dプリンターを自由に使える「ファブラボ」と呼ばれるデジタル工芸室が各地に広がりました。大手の製造業でも、従来の金型に代わる技術として注目されています。

3Dデータで仮想空間上に模型を作れば、衝撃実験なども理論的にできるようになります。「デジタルツイン(双生児)」と呼ばれ、製造業を劇的に変えると期待されています。その意味では3D技術は今後も様々な広がりを見せることでしょう。

(編集委員 関口和一)

◇   ◇

未来面は、日本経済新聞社が読者や企業トップの皆さんと課題を議論し、ともに作っていく紙面です。今回の課題は「3次元技術で世界をどう変えますか」です。皆さんからの投稿を募集します。5月18日(木)正午が締め切りです。優れたアイデアを企業や団体のトップが選んで、次号5月29日付の未来面や日経電子版の未来面サイトで紹介します。経営者をハッとさせたり、うならせたりしたアイデアの宝箱を開いてみてください。

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