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疲れ知らぬアイドル、正体はロボ ドワンゴなど開発

「こんにちは、U(ユー)です。皆さん、昨日はチョコをあげたり、もらったりしましたか?」。かれんな挨拶とともに舞台上に登場した美少女。その正体は人間そっくりのロボット、アンドロイドだ――。

動画配信のドワンゴ(東京・中央)と大阪大学、パルコは15日、人型ロボットのアイドル育成に取り組むと東京都内で記者会見した。アンドロイド開発で知られる大阪大学の石黒浩教授の研究室が制作し、「U」と名付けられた。整った顔立ちだが、モデルはいない。石黒教授が美人の法則に基づいて作ったものもあったが、研究室のスタッフが作り替えたのだという。4000種類の会話パターンを学ばせ、ドワンゴの動画配信サイト「ニコニコ動画」に流れる視聴者からの簡単な質問やコメントに答えられるようにした。

このロボットアイドルの育成にドワンゴとパルコが協力する。5月までには東京・池袋にあるドワンゴのスタジオで週1回ほど生放送をしたり、池袋パルコ(東京・豊島)で受付嬢やイメージガールとして活躍したりして経験を積む予定だ。

「アイドルのような、人が理想とするような人はアンドロイドのほうが適しているかもしれない」と石黒教授は語る。「疲れないし、いつもニコニコしていて、トイレにも行かない」。アイドルファンが理想としてきたアイドルのイメージを実現できるのはロボットだと指摘する。

とはいえ、完成度はまだ高くない。15日のお披露目が初めての人間とのコミュニケーションだというUにはトラブルもあった。司会者が生中継で視聴者からの質問を受け付けると、ニコニコ動画にはなだれのようにコメントが寄せられた。

「好きな食べ物は?」「緊張してる?」「かわいいい」――。まばたきしながら口をつぐむU。「うどんは好き?」「おこなの?」「つきあってください」。質問は後を絶たないが、Uは時折首をかしげながらも沈黙をつづける。

もう返事はしないのか――。会場にあきらめが漂いだしたその時、Uは突如、口を開いた。「緊張しちゃいますね」。石黒教授は「ロボットにはよくあることなんです。急に言われると…」と取りなした。

一度、口を開いてからは、なめらかに話し続けた。年齢を聞かれれば「私は22歳です。生まれたときから22歳なんですけどね」。覚えている円周率のケタを聞かれれば「3.1415926、くらいです。全部覚えるのはなんかメモリーの無駄な気がして…」とアンドロイドならではのジョークも飛ばし、余裕をみせた。

ただ「こわい」とのコメントに「こわいですか?ぐぬぬ」と返答すると、視聴者から「ぐぬぬ」との投稿が殺到。それに反応し「ぐぬぬ、ぐぬぬ、ぐぬぬ…」と何度も繰り返してしまう場面もあった。美少女が「ぐぬぬ」と唱え続ける姿に、会場には緊張が走った。

それでも、そういった失敗や経験がロボットアイドルを育てる。「研究室の中だけでは世界を変えるようなロボットはできない」(石黒教授)。2004年に人間そっくりのアンドロイド受付嬢が登場して世間を驚かせてからというもの、アンドロイドは進化を続けてきた。足元では演劇や落語、デパートにと活躍の場を広げている。

「私たちがアイドルに期待するのは人間性とは違うかもしれない」。ドワンゴの夏野剛取締役はこう指摘した。アイドルらしさとは何か。アンドロイドを発展させるうえではこれまで感覚に頼っていた経験も明文化される。ロボットアイドルによって日本のアイドル文化は新たなステージに上がるかもしれない。(岸本まりみ)

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