労使交渉、一斉回答を開始 ベア前年割れ相次ぐ

2017/3/15 11:04 (2017/3/15 12:30更新)
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2017年の春季労使交渉は15日、自動車や電機などの主要企業がベースアップ(ベア)に相当する賃金改善や年間一時金の一斉回答を始めた。トヨタ自動車日立製作所などが4年連続でベア実施を決めたが、大手製造業を中心に前年割れの企業が相次ぐ。米トランプ政権の動向など世界経済への先行きの不透明感はぬぐえず、経営側は慎重な姿勢を崩さなかった。

労使交渉の回答状況をボードに書き込む金属労協の職員(15日午後、東京都中央区)

労使交渉の回答状況をボードに書き込む金属労協の職員(15日午後、東京都中央区)

賃上げをめぐっては安倍晋三首相がデフレ脱却に向けて「少なくとも前年並み」を要請した。企業に賃上げを求める政府主導の「官製春闘」の4年目となるが、大手の賃上げ額は最も低くなりそうだ。

足元は堅調な米国経済や、設備投資の回復で景気拡大を実感する経営者が増えているが、16年に入ってからの円高基調では輸出採算が悪化。トランプ政権の経済運営への懸念なども強く、労使は賃上げの水準をめぐって激しく交渉していた。

トヨタは15日、前年実績より200円下回る月額1300円のベアを労働組合に回答した。前年実績割れは2年連続。要求は16年と同じく同3000円だったが、同社幹部は「一律的な引き上げは困難」としていた。ただ1人平均月額1100円を上積みして育児中の社員などを対象にした家族手当を拡充する。年間一時金は要求の6.3カ月に対して満額回答した。

日産自動車は16年に月額3000円の満額回答をしたが、今回は半分の同1500円の回答になった。17年3月期の連結業績は輸出採算の悪化などで減収減益を見込んでおり、半減した。年間一時金は6.0カ月の要求に対して満額回答した。ホンダは前年を500円上回る月額1600円を回答した。

電機業界では日立やパナソニック三菱電機などの大手労組が前年と同水準の月額3000円を要求し、月額1000円の回答。16年実績の同1500円から下げた。前年実績割れは2年連続。経営側は「英国の欧州連合離脱や米国の新政権誕生などで不確実性が高まっており、ベアには慎重にならざるをえない」(日立の中畑英信執行役常務)と話した。

造船重機では三菱重工業IHIなどの大手7社が月額4000円の要求に同1000円を回答した。16年実績の同1500円から下げた。牛丼店「すき家」などを運営するゼンショーホールディングスは月額1400円のベアを決めた。前年実績を100円下回るが、5年連続となる。

今春の労使交渉では長時間の労働是正や生産性向上といった働き方改革も議論となった。電機業界では11日、労使が「働き方改革の実現のために相互協力する」とした共同宣言を初めて発表した。ヤマト運輸ではドライバーの長時間労働是正に向けて宅配便荷受量の抑制を協議している。

主要企業の回答が出そろった後は中小企業の労使交渉が本格化する。大手企業の賃上げが失速するなかで、賃金の格差是正がどこまで進むかも焦点になる。

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