学研HD、「デジタル」と「高齢化」が追い風

2016/11/14 17:50
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学習参考書などを手掛ける学研ホールディングス(HD)の業績が好調だ。14日発表した2016年9月期の連結決算は純利益が13億円と約5.2倍に膨らんだ。主力の出版事業で不採算の書籍・雑誌を廃刊するなど事業の絞り込みが奏功したが、理由はそれだけでない。「デジタル化」と「少子高齢化」という2つの波を捉えて収益力にも磨きがかかる。

「今後もデジタル化を加速していく」。同日、都内で開いた決算会見で、宮原博昭社長は手応えをつかんだ様子で語った。柱となるのが7月に立ち上げた小中学生対象のオンライン学習サービス「学研ゼミ」。利用者はすでに1万5000人を超え、「おおむね想定通り」(宮原社長)に伸びている。

ゲーム感覚で学習できる「ワンダードリル」に加え、10月からは「スマートドリル」など学習意欲の高い小中学生を対象にしたメニューも設け、幅広い層への浸透を狙う。

全国1万5000カ所の学習塾強み

オンライン学習では、子供が学ぶ意欲を継続させるのが課題だが、その点、学研HDには強みがある。全国に1万5000カ所ある学習塾の「学研教室」だ。11月からは学研ゼミの受講者は毎月1回、1時間まで学研教室の講師に分からなかった問題を直接質問できるサービスも提供。いわば、「オンライン」と「オフライン」でサービスの魅力を高める戦略を打ち出した。

中核事業の教育分野でデジタル時代にあった方策を探ると同時に、「高齢者福祉・子育て支援事業」も軌道に乗る。サービス付き高齢者住宅や、保育園は10年ほど前から始めた新規事業。その売上高は2016年9月期には前期比15.3%増の168億円と全体の2割弱まで占めるようになった。施設開設に伴う投資負担も増すが、それでも16年9月期は2億2500万円の営業利益を確保した。

ベネッセは減収減益

学研HDは同じ教育分野を主力にするベネッセホールディングス(HD)を業績面でリードした感がある。ベネッセHDの2016年4~9月期連結決算は売上高が2125億円と、学研HDを大きく上回るものの前年同期比3.4%減。純利益は同39.8%減の31億円に落ち込んだ。

ベネッセHDもデジタル教材を組み合わせた新しい教育事業の確立を目指し、介護事業にも注力するが、主力の国内教育事業で2014年に発覚した顧客情報漏洩の影響で会員数の減少が止まらない。

学研HDが小学生向け学習雑誌「学習」「科学」を売り歩く家庭訪問販売事業から撤退したのは2010年。看板事業を捨てたからこそ見える底力が今の業績に表れているのかもしれない。

(岸本まりみ)

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